「氷点」
(1966/大映/Freezing Point)三浦綾子の原作小説を映画化。脚本:水木洋子、監督は巨匠、山本薩夫。
はあああああ~すごい話だった・・・。
大体の筋は知っていたつもりだったけど、最後にこんな結末があったとわ・・・。
はあ~脱力・・・。
舞台は旭川。大病院の院長辻口は、幼い娘ルリ子を殺されるという不幸に遭う。
ルリ子の代わりに養子を育てたいと言う妻・夏枝の望みに、辻口はルリ子を殺した犯人のこどもを養女に迎える。
ルリ子が殺された当日、夏枝はこどもたちを外に追いやり、眼科医村井と密会していたのだ。
夏枝の不貞のせいでルリ子は殺されたと辻口は内心思っていた。

いやいや 恐ろしい・・・。
妻への愛情か憎しみか。嫉妬か復讐か。
何も知らず犯人の子を可愛がる夏枝を見てみたい。
よくこんな恐ろしいことを思いつくものだわよ。
眼科医村井は病院で有名な色事師だった。
村井は なんと
、ミッキー、成田三樹夫!
事件の後、結核を発病、療養生活に。
7年後復帰するも、こんなに毒気の抜けたミッキー、めったにお目にかかれない。

赤んぼは陽子と名付けられ夏枝は溺愛するが、ある日陽子の出自を知ってしまう。
それから陽子につらく当たるようになる。
陽子は給食費がもらえず、院長の娘なのに新聞配達などして自分で稼ぐのだ。
吹雪の中、牛乳配達をして死にかかる(ありえねえ~)
それでも陽子は明るく素直に育つ。
そんな陽子を不憫に思う兄徹は陽子を一人の女性として愛し始める(徹は陽子の出自を知っている)。
が、兄として陽子の幸せを願うと決め、友人北原を紹介する。
母夏枝は北原を気に入ってしまい、二人の仲を裂こうと画策する。
北原を女の魅力で誘惑しようとする文子サマが又コワい・・・。
↓ 北原は津川雅彦サン

誤解が解け(って夏枝が二人にウソを伝えてたわけ)、北原と陽子が仲良くしている光景に逆上した夏枝は陽子の出自を北原に暴露する。
ショックを受けた陽子は翌朝、ルリ子が死んだ川辺で自殺を図る――
話、ベタすぎ!
業の深い女を演じる文子サマはやっぱりたまんないな~
と一歩引いて見ていたけれど、
じぇじぇじぇ~~
終盤には思わず目がしらの展開が・・・。
この話、夏枝がいぢわるするところはわりとさらっと流してあって、むしろ夏枝の女としての業の深さに重きを置いたところがいい。
文子サマ演じる夏枝はあんまり陽子にいぢわるするというキャラじゃないんだよね(ちょっとはするけどネ)。
尚、辻口は船越英二、兄徹に山本圭。
夏枝の友人(きっぷのよい人)辰子に森光子。
陽子役安田道代は健康的過ぎてちょっとミスキャスト感。自殺しそうには見えないもん。
やっぱり内藤洋子(テレビドラマ版)の少し陰のある印象が強すぎる。
「氷点」とは?
劇中の陽子のセリフ:
――陽子は精一杯生きて来たけれど気づいてしまった。
陽子の心に氷点があったということ、
心も体も凍えて死ぬ氷点が。
もう生きる力を失ってしまいました。この映画はとりあえず終わるけれど、この先この人たちは一体どうなっちゃうのかすっごく気になるのだった。
→ 「続氷点」があった。
辛抱たまらずあらすじを見てみたら、これまたすごい話だった。
調べてみたら「氷点」って何度もテレビドラマ化しているのね。
初代(1966年)の内藤洋子版、夏枝が新珠三千代ってコワすぎる~ブルブル
チロルの記憶だと、高千穂ひずるがやったのを見たと思っていたらなかった。違う話と混同してるんだわね。
歴代の「村井」を見てみるとおもしろい。
最近作(2006年)では北村一輝(笑) 2001年には吉田栄作。