サウルの息子

「サウルの息子」
(2015/ハンガリー/SAUL FIA/SON OF SAUL)


saul02.jpg


1月ゴールデングローブ賞授賞式で「外国語映画賞」発表の際、プレゼンターのヘレン・ミレン女王様が封筒を見て、

「受賞を発表出来て光栄だわ。
ゴールデングローブ初受賞の国です」


女王様のコメント、ステキ!
この映画絶対観たいと思った。
1月23日公開。 
ネメシュ・ラースロー監督長編第一作。
第68回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。

本年度 アカデミー賞外国語映画賞も受賞!
おめでとう!!


@ヒューマントラストシネマ有楽町


収容所を舞台にした映画はいろいろあるけれど、これは少し違った切り口。
カメラは常に主人公サウルを捉え、その背景はピントがボケている。
サウルは「ゾンダーコマンド」と呼ばれる、収容所内の仕事をする囚人。
彼の仕事はガス室の死体処理。
人々が次々に送り込まれ死んで行くのだが、後景はボケているのではっきり見えない。
足音や叫び声、うめき声が聞こえるだけ。
でもかえって観客は想像力を働かせる。
この手法はうまい。

saul01.jpg


ある日サウルはその中に一人の少年の遺体をみつける。
彼は自分の息子だといい、少年を正式に弔ってやりたいという思いにとりつかれる。
監視が厳しい中、遺体を自分の寝床に運び、囚人の中からラビを探し出そうとする。

この話のミソは、少年は、”彼の息子ではない”というところ。
最初は観客に、本当の息子なのかな?と思わせるのだが、劇中囚人仲間に遺体のことを聞かれると、
――俺の息子だ
――いや、おまえには息子はいないはずだ


というやりとりが何度か繰り返される。
これが本当の息子だと、「父と息子」という単純な関係性で終わってしまう。
そしてそれは感傷的で、ある意味利己的なふるまいになるかも知れない。

収容所の中でサウルの願いは無謀なもので、彼の、ひいては仲間の命も危険にさらすものなのだった。
見ているこちらはひやひやと気が気ではない。
なぜそこにこだわる?

やがて囚人たちは武装蜂起するが、サウルは相変わらず埋葬のことしか頭にない。
しかしそれでも否応なく仲間の反乱に巻き込まれて行く――

サウルがかくも埋葬にこだわったのは・・・
チロルにはわからなかったので諸解説を見てみました。
「ちゃんとした埋葬もされず死んで行った多くの同胞、ひいては自分自身を弔う為」
と言っていた。なるほど・・・。

ゴールデングローブでのラースロー監督のスピーチ:
――ホロコーストは時が経つにつれ、抽象化してきました。
私たちは犠牲者一人一人のことを忘れてはならないのです。

この映画では収容所の様子がなまなましく印象に残る。
サウルたちがたわしで磨いていくガス室の床のクローズアップやゾンダーコマンドたちの部屋の様子など、そこに入り込んでいるような錯覚を覚えるのだった。

撮影現場のラースロー監督
このロケ場所がまたリアルだった。実在の場所を使ったのかな。
saul04.jpg

↑ ここはガス室の手前の部屋。
人々はシャワー室と言われてここで服を脱ぐ。
サウルたちは「自分のフックの番号を忘れないで」と言うが、持ち主はもう戻ることはない。


主演の ルーリグ・ゲーザは詩人で小説家だそうな。
にしても別人・・・。(劇中では顔が終始土気色だった)
saul03.jpg



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  (2015/8/24) 「怒り」に追記あり。

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