顔のないヒトラーたち

「顔のないヒトラーたち」
(2014/ドイツ/IM LABYRINTH DES SCHWEIGENS/LABYRINTH OF LIES)


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先日観た 「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」 からの~、後日談映画ってことで観てみました。
2015年6月公開。
監督: ジュリオ・リッチャレッリ (イタリア生まれの俳優・監督)
アカデミー賞外国語映画賞ドイツ代表作品

1963年「フランクフルト・アウシュビッツ裁判」までの若き検事の苦闘を描くお話。
そうか!ニュールンベルク裁判では、ナチスのホロコーストの責任は問われなかったのか。(今わかった)

駆け出しの検事ヨハンは、検事総長の命を受け、アウシュビッツでの加害者をドイツ国内で裁こうとする。

この映画で一番ショッキングだったのは・・・

ヨハンをはじめとする二十代の若者たちが“アウシュビッツ”について何も知らなかったこと。(名前も聞いたことがない)
ヨハンは「単なる保護施設だろ」という認識。

ほんとーにほんとーにびっくりした!!


ヨハンは己の無知を恥じ図書館に行くと、アウシュビッツに関する本はほとんどなかった・・・。
戦後十年、ドイツは復興に必死で、過去を振り返る余裕などなかったはず。
そして「アイヒマンを追え!~」でも言われたように、ナチスの残党が国の重要ポストにいて、誰もアウシュビッツの件を掘り返すのを歓迎しない。
検事局も同様、どの人も皆元SSに見えて来る。
検事総長でさえ何を考えているかわからず・・・。

映画が始まってしばらくして、「検事総長はユダヤ人でかつて収容所にいたんだよ」というセリフに、
ああああああ この検事総長、
フリッツ・バウアーだったのかああ!

とようやく気づいた!(激ニブ)

↓ バウアーの部屋は、「アイヒマンを追え~!」と同じ白と黒の壁だった
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――ヒットラーが死んで、ナチスが全滅したとでも思ってるのか

ヨハンはバウアーにガツンと言われる。

一方、
――君は癒え始めた傷を再び開こうとしているんだ

加害者も被害者もかたく口を閉ざし、ヨハンは手こずる。
TOP画像は、ドイツ内の米国戦争データセンターで、600万人のナチス党員のデータの中にいるヨハン。
ここからアウシュビッツに関わった8000人を抽出する(遠い目・・・)

初めて口を開いてくれたゲットーの生存者、いつも筆記してくれる秘書のおばちゃんが、途中でよろよろと廊下に出て泣き出してしまう。ヨハンが彼女にハンカチを差し出すシーンが印象に残る。

若い人だけでなく、このおばちゃん世代もアウシュビッツのことはよく知らなかったろう。国民に知らされていいなかったのだから。
話がある進むにつれ、ヨハンがげっそりと、どんどんやつれていく。
この仕事を一人でやるってありえねぎし!

――誰も信用するな

バウアーはヨハンに言うんだよね。
バウアーは「アイヒマン~」で自分も一人で動いてた。こんなことまで自分でやるのぉ??と思ったけど、そういうことか。

↓ヨハン、なかなかのイケメンだけど萌えず
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調査が進む内、ヨハンは「死の天使」と言われた医師ヨーゼフ・メンゲレに執着する。
一人にこだわるのは危険だとバウアーに注意されるんだけど暴走しちゃう。
ナチスの亡霊に取りつかれるというのはあるある話。

やがて自分の周りの人たち、父親や恋人の父、仲間でさえもナチスに関わっていたことがわかりショックを受けるヨハン。
という苦難の道を経て、1963年の裁判にたどり着いたというお話。この裁判がドイツの歴史認識を変えたと言われている。
(ヨハンは架空の人物です。為念)

「アイヒマンショー」と同様、ここでも
「殺人に加担したのは、元はごくふつーの人たち」
ということが繰り返し言われるのでした。

===
このあたりの出来事を時系列にまとめると:
1958年 アウシュビッツ裁判の為の捜査開始
1960年 アイヒマン、アルゼンチンからイスラエルへ連行
1961年 アイヒマン裁判、死刑判決
1962年 アイヒマン絞首刑
1963年 フランクフルト・アウシュビッツ裁判
(1968年 フリッツ・バウアー没)

「アイヒマンを追え!~」とこれの2作品を観て、フリッツ・バウアーがいなければ、戦後の西ドイツ社会はどうなっていただろうかと思いました。自分の役割を終え、間もなく亡くなってしまったのですね。「アイヒマン~」の中でも体調が悪そうだったけど。


関連記事:
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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