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家族の肖像

「家族の肖像」
(1974/フランス+イタリア/Gruppo di famiglia in un interno)

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一番見たかった「家族の肖像」やっとキタ~~!
生誕110年、没後40年(1906.11.20~1976.3.17)メモリアル。
デジタルリマスター完全修復版。
2017年2月、デジタル修復版で39年ぶりに公開。

@岩波ホール

この前岩波に来たのは、メイベル・チャン「瑠璃の城」(1998)を見た時と記憶。ダニエ~ル☆
日本公開は2000年か。どえりゃあ昔の気がしてたけど。
17年ぶりの岩波は全く変わっていなかった。

玻璃(ガラス)の城 [DVD]
スー・チー
アミューズ・ビデオ
2000-11-24



「家族の肖像」は、日本では1978年に公開され大ヒット。一躍ヴィスコンティブームとなった。
当時観た時は、頭がぼーっとして、しばらくこちらの世界に戻って来られなかった。
今回わりと冷静に観ている自分がいて、39年ぶりの「家族の肖像」はやっぱりおもしろかったです。

18世紀イギリスで流行した「家族の肖像」と呼ばれる家族団らんのコレクションに囲まれて、ローマの豪邸に一人暮らす老教授。
そこに伯爵夫人が部屋を借りたいとやって来る。

ヴィスコンティ作品の中では“現代もの”ではあるけれど、この空間はまるで違う世界の出来事。この世界観を作り出せるのは彼しかいない。
教授は人に部屋を貸す気など全くなかったのだが、傍若無人な伯爵夫人ビアンカに押し切られてしまう。
この辺りのやりとりが、今見るとすっかり喜劇で笑える。

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↑ 美しいシリヴァーナ・マンガーノ

孤独を愛する教授であったが、ビアンカたち一行=ビアンカの娘ソフィア、その婚約者、そして夫人の若く美しいツバメのコンラッドのペースにすっかり巻き込まれていく。

ある夜コンラッドが何者かに襲われケガを負う。
教授は彼を自分の家に匿い、甲斐甲斐しく世話をする。
この辺りが、激萌えポイント!
ふだん家政婦任せで何もやらない教授が、バケツを持って床の血を吹いたり、ベッドメイクしたり。

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しかし、この時のヘルムート・バーガーは美しかった!
この時30.歳。ちなみにヴィスコンティは68歳だった。
38歳差という数字を聞いただけで萌え~!
年の差カップル萌えのツボヒット!

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教授がコンラッドを匿った部屋は、かつて教授の母がレジスタンスを匿っていた隠し部屋で、その密室に教授とコンラッド二人きりになると、なにやら濃密は空気がムンムンし、見ていて はあはあ。

久しぶりにその部屋を使ったせいで母の記憶がよみがえる。
強く美しい母が微笑んでいる。
それは教授にとってこの上もなく甘美な記憶なのだ。

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また、ある時ソフィアが訊ねる。
「教授に家族はいないの?」
「いたよ、かつては」

さらに回想シーンが挿入される。
ウェディングベールの妻、そして妻は泣いている。
なぜ泣いているのか?
妻はその後どうなったのか?

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ヴィスコンティ本を読んで―後記 」でも述べたように、ヴィスコンティは何も説明してくれない。そして淀川さんが言った通り、観ている私たちが自分で考えればいいのだ。懐かしい淀川さんの思い出のシーンなり。

書物と美術品に囲まれた部屋で孤独を愛する教授。
しかし、そのコレクションが「家族団らんの図」とは。
教授は本当に孤独を愛しているのか?

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澁澤龍彦がこう書いている。

――淀川長治さんはこの映画の試写を四度も観て、「ヴィスコンティという人は、貴族が好きで貴族がきらいなんやね」といったそうであるが、これはまさに至言であると思う。滅びゆく者の美しさに切々たる哀惜の情を示しながら、また一方、これを断罪することを決して忘れない。

この伝で言うと、教授は孤独を愛していて憎み、家族を嫌いつつ愛しているわけだ。

当時、教授はヴィスコンティの自己投影では?と言われていた。
そのことについてヴィスコンティ自身はこう述べている。

――この主人公は人間嫌いで他者からもたらされる騒ぎを嫌い、まったき沈黙に生きることを望んでいる、エゴイスト、マニアックな蒐集家です。
人間と人間が抱えている問題こそ、人間が生む作品などより大事なのに、それを認めることを拒否している点では罪ある人間です。
私自身はそんなエゴイストではないし、多くの若い人々に力を貸すことも、助言や物質的な援助もし続けている。友人にも恵まれているし、他人といるのも好きな人間です。


教授は自分とは全く違う人間という思いがあったからこそ描けたということなのかな。
「教授を通して、私自身の世代に知識人の社会への関わり方とその責任、そしてその敗北という結果を表現したかった」とも述べている。

最後に再び澁澤龍彦の言葉を引いておきます。

――この映画の見どころともいうべきは、この侵入者に抵抗して隠遁生活を守ろうとする教授と、彼らの一人でブルジョア夫人の男妾たる美青年コンラッドとの間に生まれる奇妙な友情であろう。コンラッドを眺める教授の目に単なる父のそればかりでなく、無意識のホモセクシュアルの匂いを感じたとしてもあながち間違っているとは言い切れまい。そこまでくみ取らなければ、この映画のおもしろさは半減するだろう。


===
映画終了後、一緒に観たたもたもは、ビアンカの娘ソフィア(天然オヤジころがし)のことを、
―向かうところ敵なしなコだけど、ああいう子は案外長生きできないわね。
30歳くらいで自動車事故かなんかで死んじゃうと思うわ。

え、何を根拠に!(笑)


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映画と本のつれづれ日記。
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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