彼らが本気で編むときは、

「彼らが本気で編むときは、」
(2017/Close-Knit)


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第67回ベルリン国際映画祭(2017年)テディ賞審査員特別賞&観客賞受賞!
監督:荻上直子
@丸ピカ



母親が男を追って家を出た為11歳のトモは叔父マキオのもとへ。
マキオと暮らしている恋人リンコはトランスジェンダーだった――



とても良かったです。
チロルの隣りに座ってた人、ずーっと泣いてました。

一人で食べるコンビニのおにぎり。
毎日毎日おにぎりだけ。
母は帰って来ない。学校から帰ると家の中に母を探す。
心の中はさびしさでいっぱいだけど、学校では平気な顔をしているトモ。
リンコは心のこもった料理やカワイイキャラ弁を作ってくれる。
清潔な寝床、あたたかい家。
今までトモが知らなかったものばかり。
トモはやすらぎを覚え、三人は疑似家族のようになっていく。

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三人はお弁当を持って花見に行ったりする。
柴崎 幸三のカメラが美しい
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メイン三人よかったです。
生田斗真はとってもきれいでリンコさんになり切ってた。
女性らしいけど、どうしてもごついとこが残っているかんじもよし。 
桐谷健太は抑えた演技が好感持てる。
CMの浦島太郎のイメージがあるからなんか変なかんじ(笑)
トモ役柿原りんかちゃんは、どえりゃあめんごい。
がんばったね。とってもよかったよ~!

この映画の中の手作りの料理は幸せの象徴。
フードスタイリスト飯島奈美さんの料理がもう一つの名わき役でした。


この作品のミソは、メインはマキオとリンコ&トモなんだけど、一種の群像劇とも言うべき、脇のエピソードが充実していて複合的な話になってる。

トモの同級生カイは、学校で「ホモのヘンタイ野郎」といじめられてる。
カイくんはバイオリンをやっていて、ちょっと中性的な雰囲気。
ぬれぎぬ?と思ってたら・・・

――大野先輩を見てると、胸の辺がもやもやするんだ
とトモに言う。
トモは、 
――キモッ! 
(笑)

ある日スーパーマーケットで買い物をしていたリンコとトモ、カイくん親子と会う。

――トモちゃん、あなた大丈夫なの?あんな変な人と一緒にいて心配だわ

カイくんのママは共和党支持のキリスト教原理主義みたいなタイプ。
母にネグレクトされたトモもつらいけど、ゲイであのママじゃあ、カイくんの方がつらいかも。
→ この後チロルの心配が現実になってしまうのです・・・

↓ママは小池栄子 栄ちゃん、こわい~~
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トモの母ヒロミは今回が初めてではなく、前にも同様のことが何度かあった。
ヒロミは母である前に女になってしまう人。
トモのおばあちゃんは認知症でホームに入っている。(リンコはその施設の介護士さん)
昔夫が浮気をして家を出て行ったまま・・・再会したのは死んだ時と話す。

その話はヒロミにつながっていて、ヒロミにはヒロミなりの心の傷があったのかなあと。
父親の不在が彼女に何らかの欠落を生んだのかも。
ヒロミはトモの愛し方がわからないのだ。
→ ずっとヒロミの顔がはっきりと映らず、一体どんな女なのか?誰が演じているのか?謎めいた演出がニクい。
最後まで映らないのかと思ったら、最後にちゃんと出てきますよ!
おばあちゃんはりりィ。昨年11月に亡くなり、今作が遺作となった。64歳。


いくつかリンコの中学生時代のエピソードが挿入される。

「ぼく、おっぱいが欲しい」

――リンちゃんにほんとのおっぱいをあげられなくてごめんね

リンコの母フミコは毛糸でおっぱいを編み中綿を入れてパットを作る。
フミコがプレゼントしたブラを嬉々として着けるリンちゃんに涙涙・・・。

↓フミコは田中美佐子 リンちゃんの子、カワイイ☆(髙橋 楓翔くん
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そう、フミコは「ハイヒール革命!」(レインボー・リール東京 第25回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2016)上映作品)
トランスジェンダー、真境名(まじきな)ナツキの母・法子さんがモデル。
性同一性障害の息子に毛糸でおっぱいを作ったという話を荻上監督が知ったことがこの映画製作のきっかけとなった。
→ エンドクレジットに Special thanks で二人の名前が。

フミコが出て来るシーンは、この映画の出発点だけあっていちいち泣ける。
一番印象に残っているセリフ:
急な夜勤になったリンコに頼まれフミコがトモを食事に連れ出す。

――言っておくことがあるの。
リンコを傷つけるようなことがあったら絶対許さない。
あんたがこどもでも容赦しないから。

――やだ、フミコさん、ヤクザみたい~

(フミコの再婚相手のツッコミw)

ビビるトモだったが、同時に自分が受けたことのない強い母の愛を感じたろう。
にしても、こんなことが言える母親はなかなかいない。
フミコさん 最強!
いやたしかにナツキちゃんのママは無双の肝っ玉おっかあだったっけ。

フミコの再婚相手が柏原収史で、このキャスティング絶妙!柏原クン、いい!!
思えば柏原収史主演の 「どこに行くの?」(2007) は、ニューハーフとのラブストーリーだった。

リンコはトモが可愛くて可愛くてたまらない。
このままヒロミが戻ってこなければ、トモを養子に出来ないかとマキオに話す。
そんな時、ヒロミが戻って来る。
マキオは姉に、トモを引き取りたいと言う――

トモは今回世の中のいろんなことを見ることになった。
悪意や偏見や理不尽なことがいっぱいある。
がんばって努力してもどうしようもないことがある。
人は誰しも傷ついたりもがいたりしている。
でもトモは自分のことを本当に愛してくれる人がいるとわかったから、
だから、強くなれたんだよね。

この作品がベルリンのテディ観客賞に選ばれたことがよくわかりました。
カイくんはバイオリンがう~んと上手くなって、ママに四の五の言わせないようになりましょう!

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映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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