ぼくのバラ色の人生

「ぼくのバラ色の人生」
(1997/フランス+イギリス+ベルギー/MA VIE EN ROSE/MY LIFE IN PINK )


ぼくのバラ色の人生 [VHS]
ジョルジュ・デュ・フレネ
日活
1999-08-27



「映画天国LGBT映画祭」 その1

日本テレビは、毎年6月が世界規模で LGBT Pride パレードなどが行われる「LGBTプライド月間」であることにあわせ、月曜深夜放送の「映画天国」枠で4週連続でLGBT関連の映画を放送する「映画天国LGBT映画祭」を開催。
その中の一本です。
今ごろやっとUP!!
監督アラン・ベルリネール


昔観たような、観てないような・・・。
20年前の作品だけど、今観てもとってもおもしろかった。
というか、今観てあらためて理解できることがあったと思う。

リュドビックは7歳の男の子。彼の将来の夢は、かわいい女の子になることだった。
好きな男の子と結婚ごっこをしたり、着せ替え人形で遊んだりと、女の子を意識した遊びを繰り返す。
リュドは、テレビ「パムの世界」がお気に入り。
つらいことがあると、「パムの世界」の妄想に浸り、しばし現実逃避する。

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リュドビック、当時は今一つ定義づけられなかったけれど、今見ると、MtFだよね。
リュドの一家は新しく家を買い、新興住宅地に越して来た。
"ハレ"の引っ越しご挨拶パーティーの当日、リュドはおねえちゃんのプリンセスコスで皆さんの前に現れる。
会場は固まってしまう。

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リュドはクラスメイトのジェロームがお気に入り。
大きくなったらジェロームと結婚したい。
結婚ごっこをしているところをママたちにみつかってしまう。

パパは不動産業。上司の仲介で今の新築物件が手に入った。
やっかいなのは、ジェロームはボスの息子だったということ。
パパからきつく言われたのか、仲良しだったジェロームは、以来、リュドを避けるようになる。

リュドのことは、直接パパのビジネスに影響する。
大人の思惑も絡んでくる。
最初はリュドのパパとママは、「こどもたち四人の個性を大切にしている」と言っていたのだが、リュドのことで地域から孤立してしまう。

――みんな、先生の話を聞いて。
大事なことなの
クラスにみんなと違うお友だちがいるけど、
人はみな違うのよ
それぞれの違いを認めて尊敬しなくては。
”自分探し”は誰でも経験すること
大切な成長の過程よ


担任の先生は、リュドに理解を示す。
このあたりはさすが"おフランス!" 

しかし、学校からリュドに退学処分が下される。
校風を乱すと、20の家庭から嘆願書が出されたのだ。

このリッチな新興住宅地は、同じような年齢層の家族が住む一角。
仲良くやっていけばいいのだけれど、一度トラブルがあると居づらくなる。

――何もかもおまえのせいよ
家族の人生が台無しよ


ママは逆上し、リュドにひどい言葉を浴びせる。
リュドは、おばあちゃんのところから学校に通う。

リュドは、女の子になりたい、という思いだけだったのに。
それがそれほど悪いことだとは・・・。

ママはリュドの頭を短く刈り、無理やりサッカーをやらせたりする。
サッカーの後、シャワールームでいじめられた時も、兄二人は見て見ないふり。
だけどそのことが兄たちも後悔となり傷ついている。
それでもリュドは、姉兄がいて、進歩的なおばあちゃんもいる。まだ救われる。

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パパは会社をリストラ、一家は家を売り違う土地に引っ越す。
(↓髪が短くなったリュド)
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引越した先でリュドは、クリスティーナという女の子に出会う。
彼女は男顔負けのおてんば娘だった。
クリスティーナは、まさに 「トムボーイ」!!(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2011)上映作品)

クリスティーナの誕生会に呼ばれたリュド。
王子様のコスでパーティーへ。
クリスティーナは、ママにプリンセスのドレスを着させられている。
プリンセスのドレスが嫌いなクリスティーナは、リュドのコスと無理やり取り替えてしまう。
それを見たリュドのママは逆上!!
はげしくリュドを叱責する。

――おまえは、またやったのね!!

それを見たクリスティーナのママは、

――ちょっと服を取り替えっこしただけじゃないの

クリスティーナのママの存在に助けられ、リュドのママも現実に対応していく。

LGBTの子どもにとって、一番つらいのは家族に見放され、家に居場所がないこと。
これがエスカレートとすると自殺に走ることも。
見ていてつらかった。
でも最後はママもパパも、リュドは大切なわが子と受け入れてくれる。
このくだりはほんとに涙が止まらなかった。

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リュド役ジャン=フィリップ・エコフェくんがとっても自然でかわいかったでし。

チロル、常々フランスっていけすかないと思うけれど、今から20年前にこんな作品を作っちゃうって、やっぱりソンケー。

===
今回の日テレの「映画天国」LGBT特集、上映の前にちょっとした解説&座談会が入る。
メンバーは:
映画ライター よしひろまさみち氏
虹色ダイバーシティ代表 村木真紀氏
そして、
日テレ「映画天国」「金曜ロードSHOW」担当 谷生俊治プロデューサー

それぞれLGBTの当事者。
よしひろ氏は今年のレインボー・リール東京(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)にも登壇したし、村木さんは今やおなじみ。
しか~し、日テレの谷生Pのことは知らなかった。
谷生Pはトランスジェンダーの当事者。とってもきれい。
谷生Pの存在は、ああ、日本もそういう世の中になったんだなと感慨深かった。

このLGBTの当事者三人のお話が、本編を見る上でとってもためになった。
リュドが「パムの世界」で現実逃避するということに、村木さんが「”現実逃避”すごくわかる」と言い、ママが全てを息子のせいにするくだりではみな胸がつぶれそうになったと声をそろえる。
「カミングアウトされた親自体も孤立してしまうという状況は多くある。親をサポートするしくみも必要」と村木さんが説く。

この作品が製作された’90年代のLGBTの(日本での)理解について
運動の中でも’90年代は、レズビアン&ゲイだけで、トランスジェンダーは見えにくかった。
変わったのは、2001年「金八先生」で上戸彩が性同一性障害の役をやってから。
あれからがらっと世の中が変わった。
これは人権の問題なんだということを教育関係者がわかってくれた。
2003年には、「性同一性障害に関する特例法」が成立。

――男同士は結婚しないのよ。
ふつうはね。
あなたは一生男の子よ。


映画の中でママのセリフがある。
いやいや今は同性で結婚もできる。
性別も変われる。
この20年でLGBTを取り巻く環境は大きく変わった。

LGBTの自覚について、三人の話を聞く。
村木さんは、十代の時思い悩み、(出身の)茨城でレズビアンは自分だけじゃないかと本気で思っていたという。
最近Facebookで、高校時代の友人にカミングアウトしたところ、「知ってたよ」と皆から言われた。
「あれだけ、必死で隠していたのに何だったの?(笑)」
よしひろ氏も「それはたいがい言われる」と同意(笑)

放送に際して、谷生Pからコメント
――今の時代もリュドのような子が自分らしく生きられる世の中になって欲しいと強く思います。

===
ママ役ミシェル・ラロック、ああ、一時よく見た女優さん!!
と調べてみたら、この時代ゲイをモチーフにした作品に立て続けに出演してたんだった!
「ペダル・ドゥース」(1995)セザール賞助演女優賞ノミニー
「メルシィ!人生」(2001)

そうだった、そうだった!
そういう映画あったわね。
さすが おフランス! 

ペダル・ドゥース [DVD]
ファニー・アルダン
アップリンク
2003-09-26






===
2015年、タイムアウト誌(ロンドン版)が、 ゲイの映画監督&俳優が選ぶ『ゲイ映画ベスト50』 を発表した。
トッド・ヘインズ、グザヴィエ・ドラン、ジョン・ウォーターズ、ローランド・エメリッヒ、ジョージ・タケイら、ゲイ映画を製作する監督・俳優ら約30人が選ぶ「ゲイ映画ベスト10」をもとにランキング化したもの。

7位に今作がランクイン!
9位の作品は未見の(我的)問題作。1997年レズビアン&ゲイ映画祭上映作品。

1「ブロークバック・マウンテン」(2005)
2「ボーイズ・ドント・クライ」(1999)
3「ブエノスアイレス」(1997)
4「マイ・プライベート・アイダホ」(1991)
5「オール・アバウト・マイ・マザー」(1999)
6「甘い抱擁」(1968)
7「ぼくのバラ色の人生」(1998)
8「ミルク」(2008)
9「とても素敵なこと/初恋のフェアリーテール」(1996)
10「オルランド」(1992)

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映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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