「ステップフォード・ワイフ」
(1975/The Stepford Wives)ニコール・キッドマン主演「
ステップフォードワイフ」(2004)はリメイク版。
オリジナルは1975年版 キャサリン・ロス主演のこちら。
日本では劇場未公開
監督: ブライアン・フォーブス
これは予想ガ~イに 秀作!!不覚にも侮っていた~
今年のmyベスト ランクイン決定くらいよく出来てた。
コメディ仕立ての2004年版から一転、こちらはサスペンスミステリー。
マジ怖い!! おそらく原作に忠実と思われ。
ジョアンナはセミプロのフォトグラファー、夫ウォルターは弁護士。双子の娘二人とマンハッタンからステップフォードに引っ越して来た。
↓キャサリン・ロス カワイイ☆

引っ越して早々に隣人のキャロルがキャセロール(ブルーのル・クルゼ!!) を持ってきてくれる。(ウォルターは彼女に好感を持ったもようありあり)

後日ジョアンナがなべを返しに行こうとすると、隣家の庭でキャロルは夫に乳を揉まれていたww 朝っぱらから!
「まあ、おさかんね」とジョアンナは出直す。
この時は他愛のないシーンと思っていた。後に意味を持つ光景なのだった。
ウォルターは「ステップフォード男性協会」に入会。
会長のクロードは”資産家”。ウォルターは彼に心酔しているもよう。
メンバーは、TV局の重役、精神科医、科学者、警察署長、電話会社の関係者・・・エリートばかりだとウォルターはドヤ顔→このメンバー構成も意味があったと後でわかる。
ことほどさように、この話は用意周到な伏線が張り巡らされていて、一度見た時はスルーしていたことが、もう一度見直すと、あああああ そういうことか~!!と。カイカ~ン!
ある夜会合の帰りに、ウォルターが「男性協会」のメンバーを家に連れて来る。
メンバーの一人がジョアンナの顔をスケッチしはじめる。ちらちらとジョアンナを見る視線がなんだか気味が悪いのよ。
絵はジョアンナにプレゼントされ、彼女はこれを部屋に飾る→これも伏線!
キャサリン・ロス チャーミング~

ジョアンナは、彼女より”少し前に”ステップフォードに来たボビーと友だちになる。

2004年版ではまともな人間はジョアンナとボビーだけだったけど、こちらはもう少しまだらになってる。
“ジョアンナの発案で”(なぜならステップフォードの妻たちは主体性のある行動を誰もしない)女性だけの集まりを開く。
「パンを焼くってとっても時間がかかるわ」という声に、「パンなんて買えばいいじゃない」とタバコを吸いながら言うシャーメインは明るいビッチキャラ。2ヵ月前にステップフォードに来たという。
シャーメイン(ティナ・ルイーズ)

彼女はテニスが大好きで自宅にテニスコートもある。
ジョアンナたちをテニスに誘う。テニスの後にはシャンペンでカンパ~イ!
ああ、彼女はまともな人間なのね。
後日ジョアンナたちがシャーメイン宅を通りかかると、ブルトーザーがテニスコートをつぶしていた。
驚いた二人が家を訪ねると、シャーメインは別人のようになっていた。
「もうテニスはやりたくないの。あそこには夫がプールを作るのよ」
部屋にはシャーメインを描いたスケッチが飾られていた。
そしてある日ボビーも別人になる。
台所がピカピカに光り輝いている。
そこにもボビーのスケッチ!
2004年版は閉じた世界だったけれど、こちらは外界との接触もあり。
ジョアンナは自分の作品をNYのギャラリーに持ち込む。そこで作品が認められる
→ 死亡フラッグ!
だんだんわかってきたぞ!ステップフォードでは妻はテニスとか写真とか自分の楽しみや生きがいを持ってはいけないのよ。
ボビーの一件で恐怖を感じたジョアンナは“自分でみつけた”カウンセラー(女性!というところがミソ)を訪ね、今起きていることを打ち明ける。
「私のこと信じてくださる?私、おかしいのかしら」
カウンセラーは彼女の手を握り、
「こどもたちを連れてすぐ家を出なさい。どこかにしばらく身を隠して」
→ 妻の味方は女性!ってこと
急いで家に戻るとこどもたちがいない。
こどもたちは預けたとウォルターは言い、いきなり暴力的になる。反撃するジョアンナ。母は強し。
こどもは「男性協会」にいるという。ジョアンナが向かうとそこにはクロードがいた――
ここから先の展開は、2004年版と全く異なっている。
2004年版はコメディなのでハッピーエンドになるのだが、こちらには恐ろしい結末が待っている。
(以下ネタバレあり)
ジョアンナは「男性協会」の階上の部屋であるものをみつける。
自分そっくりのロボットだった。
このロボット、顔はそっくりだけど本物とは似ても似つかない巨乳なのだ!ww
別人になったボビーも「夫にリフトアップブラを買ってもらったの!」と喜ぶシーンがある。
男=夫は巨乳が好き!→夫の理想通りに作られるということ。
2004年版では妻たちは脳を操作されてロボット化、最後に元に戻るのだが、こちらはロボットの完成で妻は完全に抹殺される。スケッチはロボットを造るためのものだった。
印象的なシーンがある。
物語の前半、地元紙の記者が「Newcomer's Column」の取材でやって来る。
「NYが恋しいと思うときはどんな時?NYの何が恋しい?」
ジョアンナは答える。
「喧騒(noise)」
後半、週末にボビーのこどもたちと犬を預かることになる。
「ウォルターは騒々しい(noisy)のが嫌いなのよ。大丈夫かしら」
自分と相容れないところを持つ妻は抹殺の対象になるってことだ。
中盤、ジョアンナの家のカワイイわんちゃんがなぜかトラックの荷台に乗せられどこかに連れていかれる。なに?
それがわかるのはラスト。
わんちゃんはクロードに完全になついている。わんちゃんもロボットになったってことだよね。
わんちゃんは飼い主を忘れない。ロボットになつかないもの。ヤバい存在。
ねっ!カワイイわんちゃんでしょ?フレディちゃんです

冒頭、NYを出発するジョアンナは街中でマネキンをかつぐ男をみつけ、思わずシャッターを切る。
これもマネキン=ロボット のちのジョアンナ自身のメタファーだったと気づいたのは見終わってから。


ラストシーンはスーパーマーケットのシーン。
妻たちは優雅に買い物をしている。
このシーンはオマージュとして2004年版でも同様に描かれた(違う方向だけど笑)

ステップフォードは”リベラル”なので!!「黒人のカプル」を受け入れることにしたという。
2004年版ではこれが「ゲイカプル」にハッテンしたのかなと。
ラストのスーパーマーケットにブラックのカプルが見える。
アイラ・レヴィンがこの原作小説を書いたのは、ウーマンリブ運動の時だった。これを受け入れがたく思う男たちの心情を描いたと言われている。
恐ろしい~~~~!!!尚、「男性協会」のロケの豪邸は、2004年版と同じ邸だった。
意図したわけでなく偶然だったとフランク・オズ監督が言ってた。