イノセント その2

「イノセント」 その2

<イノセント>について、書き切れなかった雑記を記したい。

今回、ヴィスコンティ本 <ある貴族の生涯> を読んで、予習バッチリだったので、”授業” によくついていけました。
エピソードも先にわかっていたので、映画で確認する作業も楽しかったです。


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たとえば、以前にも書いたが、こんなエピソード:

トゥリオ夫妻が広壮な屋敷でのコンサートに出席する場面は、コロンナ宮で撮影された。
ヴィスコンティは自分の甥や姪、さらにそのこどもたちまでコンサートの観衆に仕立てて、場面にリアリテイを持たせたという。


エキストラの人々をギロギロと見た。
どの人が、ルキーノの甥や姪なのかしら?
ルキーノのママによく似た女性がいて、母方の姪かも・・・などと想像したり。
↓ジュリアナの後ろにいるマダムなんか、ルキーノにちょっと似てませんか?

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◆ 観ていてとにかくゴージャスなのよねえ。
貴族の屋敷見学ツアーに来ているような気分。
調度品や花の生け方を見ているだけでため息が出る。
ある部屋は、壁紙・カーテン・ソファまで全て同じファブリックであった。

父亡き後母は別荘に隠居、エルミル家の本宅は、長男トゥリオが住んでいる。
次男フェデリコは、本宅の三部屋を譲り受けている。
三部屋!! 一体いくつ部屋があるんじゃい!?
つまり三部屋に関しては、フェデリコに所有権があるのだ。
なのでフェデリコは、気兼ねなく友人を連れて屋敷に滞在したりする。
(その中の一人がフィリボ・ダルボリオであったわけだ)

なるほど、貴族の家というのはそういう仕組みなのか!
<ひとりヴィスコンティ祭り>の時、サイト巡りをしていたら、コモ湖の母方の別荘 (今はルキーノの妹が住んでいる) 内の 「ルキーノの部屋」 の画像を発見。
なんて美しい部屋なのかしら。すべての調度がまるでヴィスコンティ映画のように彼の好みに設えてある。しかし彼専用の部屋があるのかしら・・・?と思っていた。
今回合点がいった。好意や信頼関係とは別に所有権があったのね、きっと。

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ジェニファー・オニールが美しかった  イタリア語は吹き替え



◆ 家を空けてばかりのトゥリオの旅行鞄は、ルイ・ヴィトン。
大きいのから小さいのまで。ルキーノの私物だろうか?
19世紀にルイ・ヴィトン。 かっこいい。

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暖炉の前、毛皮を敷き詰めて寝転がってます。ゴージャス☆


◆ ヴィスコンティ映画に本物の執事を見る――
昨今の執事ブームであるが、ここに出てくる執事はとにかく気配を完全に消している。
そこにいるんだけどいないことになっている黒子のよう。
そして口数が極端に少ない。
もちろん映画上ではあくまで脇役だから、影が薄かったりセリフが少ないのは当然なんだけど。
小説なんかでは、貴族や上流の家の人は、執事や使用人の前でははだかになっても、あんなことやこんなことを見られてもへーきだったりするじゃない。
生まれが庶民じゃないから、慣れているから、と思っていたけど、これだけ存在感を希薄にしていたら、ありだなと納得した。
それこそが執事に求められる特質のひとつなのでわ??

又、屋敷は広く、多くの使用人なしでは回っていかない。
従僕・メイド・料理人・庭師・御者・・・映画にもこれらの人々が出て来る。
彼らをを統括・管理する人が絶対に必要である。
屋敷自体の修繕やケアもある。
これも執事の役割のひとつであり、執事というのは必然から生まれたのだなあと今更ながらに思った。
逆を言えば、現代の日本に執事が必要なところがどれくらいあるのだろうか。
小説やマンガの中だけなのかも知れない。

◆ 原作と映画、ヴィスコンティが原作に施した大きな変更は結末部分。
原作によればトゥリオは 「世間一般の善悪という価値基準を超えた人間性の次元で」 生き延びることになるが、ヴィスコンティは彼を虚無の状態へ追い込んで自殺させてしまう。
なぜなら
「超人信仰は、大量虐殺という収容所の現実を通じて滅ぼされてしまったのだ」
と、ヴィスコンティは語っていた。
なるほど、ヴィスコンティらしいや。 そこには思想がある。

◆ もしアラン・ドロンがキャスティングされていたら・・・。
(すいません、どうしてもこのことが頭から離れない)
フィリポ役に、マルク・ポレルの起用はなかったであろう。
思い出したんだけど、マルク・ポレルって当時、アラン・ドロン2世とか言われていたのよね。
たしかに似てるわ。
ドロンが主役だったらかぶっちゃう。
やっぱりヴィスコンティって、ドロンタイプの男が好きなのね。
最後までブレない ヴィスコンティなのであった。

alain delon03



alain delon02



<ミルク> 公開を前に!! PageTopイノセント その1

Comment

こんにちは~

ヴィスコンティの遺作だものねぇ。
撮る前にはそうなるとはわからないんだけど…
いろいろ、いろいろお世話になったはずだから、アラ
ン・ドロン出ればよかったのに…
ほんとに残念!!!

ジャンカルロ・ジャンニーニは私の中で、「流されて」
で終わってマス。(「慰めの報酬」で少し復活したけど。)
イノセント観とくべきだわね!!!

…でも、白黒。家でみると眠くなるよねぇ…

■アンソニーちん

>いろいろ、いろいろお世話になったはず
うんうん、いろいろとね(笑)
絶対あったよね、いろいろと。

ドロンには契約問題があって出演する為には、「百万ドルと世界中の配給収益の25%」という法外な要求をしてきたんだよ~、フランスのプロデューサーが。

昔って、見てて うっと~~り~☆するような俳優がいたよね。
マルク・ポレルを見て、久々に うっと~~り~☆し、今ドロンの画像を見て、やっぱり うっと~~り~☆しちゃったもんね。
今の人で、うっと~~り~☆ することなんてないもん。美の基準が変わって来ているってこと?

>「流されて」
アンソニーちんのブログであらためて見たら、ジャンカルロ ”あんな”だったなんて、びっくりたまげたもんね(死語?!)
やっぱりヴィスコンティマジックは存在するね。
ジャンカルロ、ふかみどり色の瞳がきれいだったよ。

>家でみると眠くなるよねぇ…
私が一番熟睡したヴィスコンティ映画は、<熊座の淡き星影>。前の日のみ過ぎたせいもあり、90%寝てました(恥)→岩波ホール

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ナンシー☆チロ

Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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