メーキング・ラブ

「メーキング・ラブ」
(1982/MAKING LOVE)

Making Love [VHS] [Import]Making Love [VHS] [Import]
(1997/06/11)
Michael OntkeanKate Jackson

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夫に男の愛人ができたことから起きる愛の破局を描くドラマ。
「ある愛の詩」のアーサー・ヒラーが監督。


これ、ずーーっと観たい!と探しておりましたが、なんせ、1982年のVHS作品、ほんとないんだよなあ・・・とあきらめていたら、なんと、TSUTAYA渋谷店にあるではないか!?
今までじっくり見てなかったけど、渋谷店ってコアな作品がけっこ揃ってました。
しかもここがいいのは検索マシンの完備。店舗も広く配置も探しやすい。
なので、例の 「my未見のゲイ映画秘密リスト」 からこれを含め2本借りて来た。
(→もう1本は後日UP予定




この作品を最初に知ったのは、数年前FOX TVで放送されたドキュメンタリでだった。
FOXでの邦題は、<超過激!フィルムの中のセクシーシーン>
これ、PLAYBOYからDVDとして出ているのだが、そのタイトルは <魅惑のシネマ 究極のSEXシーン>

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タイトルはカゲキだが、「映画史における性表現の変遷」をテーマとした興味深い内容だった。
年代ごとの特色がうまくまとめてあって、なかなかにアカデミック。
あ、ノート取らなくちゃ!と思ってしまいそう。
その中に、レズビアン&ゲイ映画のカテゴリーがあり、その時代、時代のゲイ映画も紹介。 そのひとつがこの作品。
ほえ~、そんな作品があったんだあ・・・しかも <ある愛の詩> のアーサー・ヒラーがねえ・・・
と思っていた矢先、寛子ちゃんち で記事になり、その後 <セルロイド・クローゼット> にも革新的な作品として取り上げられていたのを知る。

ある愛の詩 [DVD]ある愛の詩 [DVD]
(2006/11/02)
アリ・マックグローライアン・オニール

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ザック(30)はドクター、妻クレア(29)はTV局プロデューサー。
結婚8年目。結婚生活は順調、新しい家も購入したばかり。
が、ザックは人には言えない自分の性指向を自覚し始めていた。
今まで抑圧してきたが、もはや自分で自分をだませない段階に。
ハッテンストリートや、ゲイが集まるバーにでかけてみたり。
しかし、いざとなると敵前逃亡してしまう。


この辺の描き方がうまいです。
逡巡、ためらい、躊躇・・・ザックのぐるぐるする様がリアルでいい。

そんなある日、バートがクリニックにやって来る。
バートは作家で、遊び人のゲイだった。
”匂い”を感じ取ったバートは、ザックをランチに誘う。
その後親しくなった二人は、ある日デイナーの後バートの家に――


ここで探り合いを始める二人だが、自分はゲイだとあっさり告げるバートに、往生際悪く逃げるザック。

――君は? 君の目つき、かんじでわかるんだよ
――僕はゲイじゃない。好奇心をもっただけ

はっきりせんかい! われ! と怒鳴りつけたいところでやっと覚悟を決めたザック・・・そのまま ホットな一夜。


さてこの二人のキャスティング。
ザック役 マイケル・オントキーン。
我的には、<ツイン・ピークス> の保安官!!

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お、デイル・クーパー捜査官&ドーナッツ!! なつかしい!


バート役 ハリー・ハムリン。
この人は、<セルロイド・クローゼット>にも出て、インタビューに応えてました。
悪いけど超ダメツボ・・・。でもアメリカ人は好きそうなタイプだよね。

マイケル・オントキーンは、我的に可もなく不可もなくだが、誠実な感じが出てて悪くないです。
ハリー・ハムリンがもう少しmyタイプだったら萌え萌えだったのになあ。

ちなみにクレア役は ケイト・ジャクソン。。 
ご存じ <チャーリーズ・エンジェル>ではしっかり者の役どころでありました。
劇中、<チャーリーズ・エンジェル>をパロッたセリフがあった。

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その後もデートを重ねるザックとバート。
しかしけして泊まらずに家に帰って行くザックに、バートはキレる。

――俺と女房の間を行ったり来たり
  そろそろふんぎりをつけたらどうなんだよ


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一方、ザックが家を空ける時間が多くなり、クレアも何かおかしいと感じ始める。
仲の良かった二人だったが、いさかいが多くなる。
ある日、とうとうザックは真実をクレアに告げる。
逆上したクレアは泣き叫び、ザックを責める。ザックは家を出る――


この時代にこの作品がどれだけセンセーショナルだったか、ということは <セルロイド・クローゼット その2> に詳しいが、これを見て一番思ったことは、「ドラマとしてよく出来ているな」 ということ。
テーマはどうあれ、ひとつのドラマとしておもしろく観ることが出来る。さすが アーサー・ヒラー。

前述の <超過激!フィルムの中のセクシーシーン> では、この作品をこう評していた。
――それまでのセンセーショナルな作品(<クルージング>など)と違い、
人間同士のつながりを描いた作品であり、大スターを配して商業的成功を目指した同性愛作品。


まさにその通りでありまして、ウエルメイドなドラマであります。

脚本がよくできているんだよね。
脚本家 バリー・サンドラーは自身ゲイであり、自伝的要素も強いのではないかと思われます。
三人のキャラクターがよく書き込まれてあるので、安直なかんじがしないのです。
この作品って、「夫にゲイだと告白された妻の苦悩を描いた映画」というあらすじでまとめられてるみたいだけど、観る人によっていろいろな観方が出来ると思います。
夫に裏切られた形の妻・クレアに同情し、感情移入する人もいるでしょうし、自分の性指向に悩むザックに己れを重ね合わせるゲイもおりましょう。
また、気ままなゲイライフを送るバートの孤独を敏感に感じ取る人も少なくないのでは?

私は、妻視点というより、ザックがぐるぐるしながら、自分の心に正直に生きる様を見守った、というのが近いかなあ。
クレアにとって、夫がゲイだったことが苦悩なのではなく、人生のベストパートナーと思っていた人を失う、という苦悩の方が大きかったのでは? 
ザックが家を出てから、バーのマッチをみつけたクレアはそれを手がかりに訪ねてみる。
自分が夫の一番の理解者だったと思っていたが、そこで自分が知らなかった夫を知り愕然とする。
夫婦とはいえ、相手の何もかもを理解しているなんて思わないことだ、という警句とチロは受け止めました。

物語は数年後、共通の友人の葬式で二人が再会するところで終わる。
クレアは再婚し、こどもが一人。バートはNYでパートナーと暮らしている。
時を経た二人にしみじみとし、思わず目頭・・・。

この時二人が交わす会話が印象深い。

――その人と仲良くやっているのね。
――うん、もう2年になる。
   でも、音楽の趣味なんか全然合わないんだよ。
――うちもそうよ。全然だめ。


みたいなことを言い合う。
この部分、結婚生活やパートナーとの関係の本質をついているいいセリフだと思った。

前半、クレアとザックが、音楽や映画、趣味がぴったり合った夫婦という描写がいくつかある。 だから二人は一緒にいて心地よく楽しく、互いがベストパートナーだと思っていただろう。
だけど、今のお互いのパートナーとの関係の方が、ずっとしっくり来る気がするのだ。
もちろん、趣味が合う方がいいに決まっているんだけど、互いの趣味や価値観の相違を認め合って暮らしていくことこそが大事、とでも言えばいいのかな。

今は互いに幸せな二人に、後味が良い。
そう、<セルロイド・クローゼット>で何度も言われるように、この作品のゲイは誰も死なない。


この作品、劇中に古い映画がいくつか出て来る。
前半、仲のいい夫婦 ザックとクレアがベッドで見ているのが <めぐり逢い>
ここは二人の仲の好さを象徴するシーンで、二人はこの映画を何度も見ているのでセリフを覚えていて、映画とシンクロしてセリフを言い合ったりする。
これ、主演が ケイリー・グラントとデボラ・カー
この作品は、後のヒット作 <めぐり逢えたら> の元ネタとなっている名作だが、ゲイアイコン=ケイリー・グラント よね。

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(2006/11/24)
ケイリー・グラントデボラ・カー

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トム・ハンクス; メグ・ライアン; ビル・プルマン

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孤独なゲイ バートはしばしば自宅で一人映画を見ている。
それが ある日は <熱いトタン屋根の猫>
ご存じ、テネシー・ウィリアムス原作。主人公 ポール・ニューマンは同性愛者の役だ。

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(2008/10/08)
エリザベス・テイラーポール・ニューマン

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別の日は <愛情の花咲く樹>
主演 エリザベス・テイラーで、相手役 モンゴメリー・クリフトは、実生活でゲイだった。

なあんて深読みするのが楽しかった。 

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(1999/10/05)
Montgomery CliftElizabeth Taylor

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Comment

VHS全盛期に見ました~
>ザック役<ツイン・ピークス> の保安官!!
同じ頃「ツイン・ピークス」もズラッと棚に並んでいましたよね。
ゲイの役は敬遠する俳優もいるというので、この人は気にしないのかな?なんて思ったり。

>夫婦とはいえ、相手の何もかもを理解しているなんて思わないことだ、という警句だと
私もそう受け止めました。
長い人生、何が起きるかわからない。
こんな人生の一大事ではないにしても、結婚ン年後にして「初めて知りました!」ということがいくらでもあるし。

>ベッドで映画を見ているシーン
趣味もぴったり、こんなに仲のいい夫婦なのに。 
後に”ゲイアイコン=ケイリー・グラント”ということを知り、あの数々の映画、あれはそう言うことだったのか…。納得! 

■herちゃん

>VHS全盛期に見ました~
おお、さすが、押さえてたのね!
>ゲイの役は敬遠する俳優もいるというので、この人は気にしないのかな?なんて思ったり。
寛子ちゃんちのカキコミ情報だと、やっぱりここから<ツインピークス>まで干されてたらしいよ。

>結婚ン年後にして「初めて知りました!」ということがいくらでもあるし。
あはは! herちゃんが言うと重みがあるな。

>趣味もぴったり、こんなに仲のいい夫婦なのに。 
映画の中でクレアも回想してるけど、夫婦と言うより「結婚ごっこ」をしてるみたいな・・・結果論だけど。
>あの数々の映画、あれはそう言うことだったのか…。
たまたまわかったからいいけど、何の映画かわからなかったら悶々としたろうなあ、自分。

ザックの今のパートナー、ちらっとしか映らないんだけど、ナイッスミドルでステキ☆
きっと弁護士か建築士・・・なあんて妄想がふくらみました。

いいレビューでした

チロさんのレビューは常に素敵ですけど…。

誰も死なないゲイ映画っていいですね。
死ななきゃいけない物語なんて空しすぎる…。
ゲイは特に自殺率が高いというし…。そうゆう現実こそ超えていって欲しいです。

セクシャル・オリエンテーションって、ほんと深いですよね…。
ザックはクレアと夫婦生活してたわけだから、一応バイだったってことですかねえ…(?)。
ゲイ寄りのバイ。またはバイ要素のあるゲイ。
うーーーん。セクシャル・オリエンテーションと、アイデンティティて複雑で深くて…凄いです。

観てないのでわからないのですが、これはラブつうより、そうゆう方面で悩む映画なんですよね…(?)
そんで最後にラブが残る…みたいな…。
ある愛の詩を撮ってる監督がこれを撮るって凄い興味深いですよね。

セクシャル・オリエンテーションって、社会のなかで規制されてるから、アイデンティティとか絡んできてややこしいんですよね…
それを超えたことを考え出すと無限の可能性が広がるけど、アイデンティティとか、今まで知っていたはずの日常が崩壊したりするのかなあと思うと…ですが、

>だけど、今のお互いのパートナーとの関係の方が、ずっとしっくり来る気がするのだ。
なんですよね。

うーーーん、でも、セクシャル・オリエンテーションの無限の可能性(ラブのバリエーション?)って気になります…!!

■かなかさん

>セクシャル・オリエンテーションって、ほんと深いですよね…。
劇中、ザックは先天的だったのか、後天的だったのか自分でもわからない、と言ってます。
クレアは、自分をカモフラージュにしていたのね、と詰るが、8年間のザックの愛情は偽りないものだったと最後は納得します。
この辺の境界線はあいまいですよね。

>観てないのでわからないのですが、これはラブつうより、そうゆう方面で悩む映画なんですよね…(?)
そうそう、そういう映画です。
>ある愛の詩を撮ってる監督がこれを撮るって凄い興味深いですよね。
そうなんすよ!すでにキャリアのある監督なのに、チャレンジンぐ~だなあ、と、ちょっとソンケー。

>それを超えたことを考え出すと無限の可能性が広がるけど、アイデンティティとか、今まで知っていたはずの日常が崩壊したりするのかなあと思うと…ですが、
ザックがぐるぐるしていたのは、結局そこんとこでしょうね。
そういった問題を真正面から取り上げた作品で、興味本位や安易なかんじがしない。
好感の持てる映画でした。
かなかさんにぜひ見て欲しいッス。

こんばんわ~

チャーリーズエンジェルで、一番すきだったですよ。

実はDVDは確保してあるんです・・見てないです。
ダメな私。会話についていけないの・・・
そうそう、MilkのDVDも着いたのよ。劇場行ったから見ないかもしれないけど・・コレクション。

あれ・・實子さん復帰したの?

■TOMにゃんさん

思ったよりずっとおもしろく観られました。
ゲイ物というより、もっと普遍的なドラマだったよ。
でも、ゲイの集まるクラブとかはそれなりにドキドキしちゃった。
importのDVDは気持ちが乗ってないと見られないよね。
最近は歳のせいか、集中力が持続しないッス(ツライ)

寛子ちゃん、どうしたのかな?
春ごろ、いつでも復帰できるようなかんじだったけど。
寛子ちゃ~ん、元気してる~~?
見てないかな?

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ナンシー☆チロ

Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
過去記事へのコメントも歓迎です。
尚、宣伝目的や記事に関連のないリンク・コメント・トラックバックなどはこちらで削除させて頂きますので、ご了承下さい。

追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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