多重人格 シビルの記憶

「多重人格 シビルの記憶」
(2007/Sybil)

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少女時代に虐待を受けたため、多くの人格を持つようになった女性シビルの運命は?
フローラ・リータ・シュライバーの全米ベストセラー 「シビル―私のなかの16人」 を2度目の映像化。
解離性同一性障害の女性シビルが、彼女を診察した女医ウィルバーによって16もの人格を持った事実が明かされる過程をスリリングに再現。


ジェシカ・ラングがドクター役というのに魅かれて観てみた。
[多重人格] というモチーフにも興味あり。


シビルはNYで絵の勉強をしている。が、しばしば記憶がなくなること(=ブラックアウト)がある。
冒頭、ふと気付くと自分はフィラデルフィアにいて、もう6日もホテルに滞在しているという。
その間の記憶は全くない。

コワい・・・。 そりゃヤバいでしょ、明らかに。

そのシビルを、Dr・ウィルバーが担当することに。
彼女と話をする内、彼女の中に別の人格がいるのではないか、とドクターは考え始める。

シビルはおとなしい女性だったが、突然表情を変え怒りをあらわにし、自分は「ペギー」だという。
また、ヴィッキーという人格もいて、彼女はパリジェンヌでおしゃれ、社交的でおしゃべり上手。フランス訛りで話す。
この他、数学が得意な 「とりまとめ役」 メアリー、果ては15歳の少年 シドもいて、合計 16人の人格がシビルの中にいる。

シビルの記憶をたどる旅は、さながらミステリ小説のよう。
結局こういうのって、根っこにあるのは、ご想像の通り幼少期の虐待なんだよね。
母親に抑圧されて育ったシビルは、怒りの感情を表に出すことが出来ない為、代わりに怒ってくれるペギーという人格が生まれ、自分がこうあったら、という願望としてヴィキーがいる。
これらは 「防衛本能」 と呼ばれるもので、そのおかげでシビルはなんとかやってこれたのだが。
さて、Dr・ウィルバーはどうやってシビルを救い出すのだろうか――

実話を基にした原作を映像化したもの。
ダニエル・キース 「24人のビリー・ミリガン」 でも著名な前例として登場する本である。

SybilSybil
(2009/04/01)
Flora Rheta Schreiber

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24人のビリー・ミリガン―ある多重人格者の記録〈上〉24人のビリー・ミリガン―ある多重人格者の記録〈上〉
(1992/09)
ダニエル キイス

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観ていて驚いたのは、この当時=1957年には 「多重人格」 という概念がまだなく、それを主張するウィルバーは、同僚に変人扱いされる。

――「一時的記憶喪失を伴うヒステリー」 だから、女性の君に任せた。
おそらく、月経とホルモン・バランスの関係だろ。


などど侮辱発言をする同僚の男性医師。 むかっ!
それら偏見や差別と闘い、シビルと向き合い、時に寄り添うDr・ウィルバー役 ジェシカ・ラングが素敵だ。
さすがに年取ったなあ感なのだが、「大人の女」 って、若い娘っこには出せないオーラがある。
これはスカーレット・ヨハンソンにはゼッタイ出せない魅力だ。

シビルの母親というのがかなり問題のある人で、おぞましい虐待をして来たのだが、問題は父親の方にもあるんだよね。
こういう幼児虐待のケースって、片方の親が見て見ぬふりをするんだよ。そうするとこどもは二重に傷つくことになる。
映画では多く語られなかったが、この母親自身もその父親(シビルの祖父)によって、抑圧されてきたようだ。負の連鎖か。
(原作には詳しく書かれているのかも)

シビルの母親は数年前に亡くなった。最後までシビルが看病したが・・・。

――ママのこと愛さなくちゃいけないのに、
どうしても出来なかった。 私のママなのに・・・。


他人なら恨み憎むことも出来る。最愛のママを愛せないことに苦しみ、愛せない自分を責める。
幼児虐待の罪はここにあると思った。

以前テレビで実在の多重人格の人を撮ったフィルムを見たことがある。
突然話し方はもちろん、顔つきまで変わるんだよね。コワかった。
別人格になると、持病を持っている人も症状が出ない、利き腕も変わってしまうこともあるという。
多重人格って不思議だ。

映画の中にマトリョーシカが出て来る。人形の中に人形がいて、さらにまた人形がいる。
ほんとだ、多重人格というのはまさにこれだよ。
治療もこれと同じ、全ての人格を否定せずに長い時間をかけてあせらずに統合していくのだ。
人間の心の傷は深い。


パトリックは1.5歳PageTop路上のソリスト

Comment

この映画見たい!
DVD探します。

ジェシカ・ラングが好きです。
若いころ、「キングコング」のアホっぽい金髪役でも
素敵だったけど、年を重ねて、知的な雰囲気を身につけて
(きっと本来そういう人だったのね。ハリウッドスターはそういう点で侮れない)
いっそう素敵だと思いました。

よく知らないけど「多重人格」って治さないといけないのね?
医学が進んで、いろんな脳の病気?障害?が発見されていくんだろうけど、
たとえば、アスペルガーとか学習障害児とか、
昔だったらクラスに一人はいる「落ち着きのない子、変な子」が
名前を付けられて、診断を受けて。
それに、性同一障害とか。

今後、自分だって何かにあてはまるかもしれない。
(いや、とっくにあてはまっているのを自分だけが知らない…とか)
「自分は普通です。」と言い切れるのは、実はすごい奇跡なのではないかと思う。

■みんちい嬢

>若いころ、「キングコング」のアホっぽい金髪役でも
素敵だったけど、年を重ねて、知的な雰囲気を身につけて(きっと本来そういう人だったのね。

たしかにな。シャロン・ストーンなんて頭からっぽのブロンド女だと思っていたら、実は知能指数が高い骨太な女だったもんな。侮れないね。

>よく知らないけど「多重人格」って治さないといけないのね?
その前に、「解離」とかの症状があって、それが重症になると「多重人格」になるらしい。
さすがにそこまで来ると、日常生活に支障を来し、自傷行為にも及ぶので、それは治療が必要だと思われ。

>医学が進んで、いろんな脳の病気?障害?が発見されていくんだろうけど、
>名前を付けられて、診断を受けて。
ああ、私って病気だったんだ・・・とわかって、救われる人もいると思うんだよね。
ただのダメな人だと思っていたところを。

>今後、自分だって何かにあてはまるかもしれない。
「自分は普通です。」と言い切れるのは、実はすごい奇跡なのではないかと思う。

ほんとだよな。

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Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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