ベイビー・ラブ

「ベイビー・ラブ」
(2008/France/Comme les autres/Baby Love)


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仕事に恵まれ、安定した生活を送っている小児科医のマヌ。しかし、マヌの父親になりたい願望は、日に日に高まるばかり。一方、パートナーのフィリップは、子供なんかいなくても十分幸せだと言う。
そんなある日、不法滞在者のフィナと出会ったマヌは大胆な提案を。フィナと偽装結婚をしてあげる代わりに、マヌの子供を産んで欲しいと。
フランスのゲイを取り巻くシリアスな現実を、コメディタッチで、軽やかに描いた話題作。



【第18回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2009)上映作品】



新宿ラウンドからホームグラウンド、青山スパイラルに場所を移しての一発目。

依然続くムーヴメント 「ゲイと子育て」
いや、今回はその前段階の話。
我的に、今年の映画祭 一、二を争う秀作であった。



~子供が欲しい! 子育てをしたい! 僕の気持ちを、分かって欲しい!~

マヌ(42/小児科医) と フィリップ(40/弁護士or裁判官?) のカップル。
冒頭からなにやら雲行きが怪しい。
こどもが欲しくて欲しくてたまらないマヌが、フィリップの意向を無視して勝手に養子申請をしてしまったのだ。
フィリップは、こどもなんかいなくても十分幸せ、自由な時間を楽しみたい、と思っている。

さて、ここでフランスのお国事情。
フランスでは同性婚は認められていず、ゲイのカップルへの養子や人工授精もダメ。

――養子審査官が来たらどうするんだよ?
――その間だけ別居すればいいだろ


というマヌの言葉にカチンと来たフィリップは、そのまま家を出て行ってしまう。
アデュー、フィリップ  


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怒ってるよ~ フィリップ


完璧なプランで審査官を迎えたマヌだったが、ひょんなことからゲイであることがバレてしまう。
他の道はないかと画策するも、万策尽きたマヌ。あることを考える。

たまたま知り合った不法滞在者のフィナに、「偽装結婚する代わりにこどもを産んでほしい」 と提案する。
最初は怒ったフィナだが、結局同意する。

マヌの友人の産婦人科医(♀)が人工授精してくれるから問題はない。
出産後は離婚するから、自由になる。
計画はテッパンに思えたが――


【 以下 ちょっとネタバレです 】




さて、親友の産婦人科医が二人を検査したところ・・・
なんと、マヌは無精子症だった。こどもはあきらめろという。
落胆するマヌ。 (カワイソウ・・・
諦めきれず、ケンカ別れしたフィリップに、「精子をくれないか」 と言い、又もフィリップを怒らせてしまう。(見ている方は笑えるんだけどね)

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フィリップの一人住まいの部屋。
都会的でスタイリッシュ、フィリップの好みがよく表れている。



そんなこんなでいろいろあったが、フィナは無事妊娠。
天にも昇るキモチのマヌ。見ているこっちもうれしくなっちゃう。

フィリップの出て行った家で、マヌと二人 「疑似夫婦」 を演じていたフィナは、次第に ”大いなる錯覚” に陥ってしまう。
大切に扱ってくれるマヌ、やさしいマヌ、心から赤ちゃんを待っているマヌ。
フィナはマヌを愛してしまったのだった。

結婚式当日、故郷からフィナの両親が、そしてフィリップもやって来る。
二人に嫉妬するフィナ。 複雑な思い。
翌日、こんな気持ちでこどもは産めないと、フィナは家を出て行ってしまう。
おなかの赤ちゃんと共に姿を消したフィナはどこに行ってしまったのか?
マヌとフィリップの復縁はあるのか? ――

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元サヤ? 元サヤ?


途中から先の展開が全く読めなかったッス。
最後の最後までハラハラし通し。怒涛の展開の終盤は、泣きながら見てました。

この作品を見て一番思ったのは、こどもが生まれるというのは大変なことなんだ、ということ。
「はい、代わりに産んであげますよ」 とひとことで済む問題ではない。
かつて 「こどもを産む機械」 発言をした人がいたが、機械が産むわけではないのだ。
こどもを待つ側のマヌ、産む側のフィナ、両方の思いがよく描けていた。


さて、 ”ラ ブ”  である。
ドラマの最初から、フィリップはずーっとフキゲンで、陰気でかんじが悪い!
物語がマヌ視点で進むから仕方ないのだが、観終わってよく考えると、フィリップの怒りはもっともなのだ。
自分の意見は無視して勝手にコトを進めるマヌに怒って当然だし、審査官が来るから 「しばらくどっかに行っててくれ」 というのはたしかにひどい。
フィリップにしたら、「こどもとアタシとどっちが大事なの?!」 つうとこだろう。

ケンカ別れ中のフィリップに、精子が欲しいと会いに行ったマヌ。
手頃な相手が周りにいなかったわけでなく、まだフィリップを愛していたからだろう。
「あなたのこどもが欲しいの」 という思いがあり、繋がっていたいという気持ちもあったのでは?
→ そしてその思いが最後に生きて来る

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ヨーロッパというのは、どこも (同性愛に関して)「先進国」 だと思っていたら、映画祭での各国映画を見て、それぞれの違いがわかり勉強になりました。
フランスなんて ”進んでいる” かと思ったら、予想ガ~イだった。
尚、今年の上映作品 フランス映画 <ニュー・ワールド>  も、サマリーを読むと 「レズビアンカップルとこども」 という同じようなテーマの作品。

観終わってあたたかい気持ちになれる作品だった。
マヌもフィリップもフィナも、みんな幸せになって欲しいと思った。
マヌのともだち、婦人科のドクターもね☆ (笑)
笑って泣いて考えさせられるいい映画だった。

===
我的に印象に残っている言葉がある。
レズビアンのカップルと何組か面接するんだけど、うまく行かないマヌ。

――恋人探しと一緒だよ。
相性の合う相手と巡り合うのはむずかしい。

(と、遠い目・・・その先には、フィリップがいるというのが見ていてわかる)

この言葉、「ほんとにそうだよね~」 と思った。
みなさん、めぐりあいは大切にしましょう。

===

マヌ役 Lambert Wilson ランベール・ウィルソン がステキだ 
デカいガタイ(191cm)で、赤ちゃんを扱う姿がツボ直撃☆
世界中で彼ほどパパに最適な人はいないとみな思う。(なんせ小児科医だし、地上最強!)

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マヌと妹のこども (このコがとってもカワユイ)


マヌの 「老眼鏡」がなんとも セクスイ~  なのよね
「老眼鏡」がセクシーと初めて思った。

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こどもの目線で話すマヌがステキ☆



劇中、マヌは 「自分はこどもを持つギリギリの年齢」 という。
女性なら出産適齢期というのがあるけれど、男性がそういう考え方をするのがおもしろいと思った。
たしかに子育ては体力勝負だし、こどもが成人するまで責任を持てる年齢というのがある。
こどもを持つことにに対して真摯な思いが見て取れます。

→マヌ(マヌって、エマヌエルのことだったのね) 42歳と言ってたけどフケてんなあ、と思ったら、'58年生まれ、50歳だった! やっぱり
(フィリップは'67年生まれ、まあ、40歳ってとこね)
テーマが 「ゲイと子育て」 になると、年齢層が高くなってオヤジスキー大満足じゃ! ウヒヒ

フランス映画を見ていつも思うのが、着こなしのこなれ感。
どうってことないセーターやパンツだけどかっこいい!
役者だからそりゃかっこいいんだけど、アメリカ映画とは明かに違う 「こなれ感」 なんだよな。

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ランベール・ウィルソンってたしか誰かの息子だったよな。
→ Georges Wilson ジョルジュ・ウィルソン 
全然似てないよね。ランベールはママ似かな?

comme12.jpg <かくも長き不在>(’61)


イングリッシュマン・イン・ニューヨークPageTop分断の街で

Comment

レビュー読んでるだけでうっとりしました。
ありがとうございます!

>劇中、マヌは 「自分はこどもを持つギリギリの年齢」 という。

この発言、すごくおもしろいですね。
「男はいくつになっても、若い女に産ませられる云々」みたいなことが言われてる部分がありますが、やっぱり男も高齢になると危ないみたいですね。
種も老化するので…。(具体的に精○って書こうとしたら、禁止キーワードって言われました…)
マヌはそうゆうこと言ってるんじゃなくて、もっとママ的な部分だと思いますが…。
母性って、女性のものじゃなくて、オスメス関係なく、生物なら持ってるものなんだと聞いたことがあります。

>みなさん、めぐりあいは大切にしましょう。

いい言葉です~

Re:■かなかさん

> レビュー読んでるだけでうっとりしました。
私も、マヌにうっとり~~しながら見てました。

>種も老化するので…。
そりゃそうだろうね。それを考えると、早婚派のヤンキーは日本を救っていると思います。

> 母性って、女性のものじゃなくて、オスメス関係なく、生物なら持ってるものなんだと聞いたことがあります。
うん、マヌの場合、明らかに父性じゃなくて、母性ってかんじだったもん。
でも、一緒に行った他の皆さんは、マヌが”パパ”で、フィリップが”ママ”に違いない、と言ってました(え、何の話?) リバありつう意見もあったけど・・・(ゲホゲホ

みたよ~

20日に観にいったよ~。
よかったです。
子供ができないとわかったマヌが悲しむ姿がかわいそうだったです。

シェフズスペシャルようやくアップしました。
TBよろしく!!

■アンソニーちん

> 20日に観にいったよ~。
見たんだね~~ よかった、よかった!

> 子供ができないとわかったマヌが悲しむ姿がかわいそうだったです。
この世の終わりのような悲しみ方だったよね。

始まってすぐケンカだから、あんまりラブラブなシーンはなかったけど、年齢層が高くて、二人ともいいかんじで良かったです。
やっぱりこういう映画は、「役者が好ましい」というのが最大のポイントだよね~~
レベルが高かった。
最後の方のフィリップは、おまえ、別人かい!? つうツンデレっぷりだったね(笑)

う~ん!!

今アンソニーさんとこからきたのよ。
この時期だけは羨ましいお二人ですわ(泪~~

The Holy Childのおじちゃんですね。
ま、メジャーはともかくとして、バビロンADもたのんじゃってあります。って、こっちはヴィンちゃん目当てですけど。

これきっとDVD出ますよね♪待ってますわ。

■TOMCATさん

> 今アンソニーさんとこからきたのよ。
> この時期だけは羨ましいお二人ですわ(泪~~

今回、アンソニーさんにお会いしたんですよ☆
積もる話をしました。楽しかったです。

> これきっとDVD出ますよね♪待ってますわ。

はらはらしながらも、すごく居心地のいい作品でした。
いろっぽいシーンはないんですけどね、それがかえって良かった気もします。

遅ればせながら。

私的には、今年は間違いなくこの作品が一等賞!でした。
と言っても、そんなに数観てないけどw
でも、ここ数年、観た中で比べても、一、二を争います。
それくらい、本当によかったです。 (^^)

マヌの子供欲しさに、振りまわされるフィリップの怒りはもっとも。
パパとしては最高のマヌだけど、パートナーとしてはどうかと思ったもん。
何もかも勝手に決めちゃってさ。

でも、フィリップがマヌの馬鹿げた申し出を受けた気持ちもよく解る。
マヌをまだ愛してたから、だよね。
悩んでいるフィリップの姿が切なかったデス。

そして、フィナも切なかった。フィナの決断に尊敬すらしました。
すべてマヌのため、という、無償の想いが泣けました。
友人のドクターも、散々、振りまわされてて気の毒。
彼女はラストで思わせぶりだったけど、幸せになって欲しい。
やっぱり、一番の罪作りはマヌだよね!!

あぁ、何度思い出してもいい作品です☆彡

■ももちー


> でも、ここ数年、観た中で比べても、一、二を争います。
> それくらい、本当によかったです。 (^^)

え、ももちーにとって、そんなに良かったの!?
一、二か・・・それってすごいよね。
いや、たしかに。 良かったよねえ~~

> でも、フィリップがマヌの馬鹿げた申し出を受けた気持ちもよく解る。
> マヌをまだ愛してたから、だよね。

映画を見ている時はわからなかったけど、見終わってから、あの二人って絶対フィリップの方がよりマヌを愛してたよね。見ている時は冷たい男だな、なんて思ってたけど、あれ、拗ねてたんだよね。

> そして、フィナも切なかった。
最後の方で、「代理母」ってやっぱり「代理」なんだなとつくづく思った。
周りが「赤ちゃん一番」になるのは仕方ないよね。
理屈じゃわかっちゃいるけど、つらいよな。

> やっぱり、一番の罪作りはマヌだよね!!
この人って、一度思うと、がーーーっと行っちゃう人なんだよね。
患者のこどものことを心配して、フィリップは何度もないがしろにされてたり。
でもフィリップはマヌのそんなとこも好きなんだろうなあ・・・なあんて、妄想は広がる。

> あぁ、何度思い出してもいい作品です☆彡
そう! そうなんだよねえ。あとから牛のように反すうしちゃう作品☆
落ち着いて、も一度観たいね。

■Mさん

拍手コメントありがとうございます。

映画祭にいらしたのですね。
私もこの年のこの2作は、文句なしのアタリだと思います。
「ゲイと子育て」というテーマは共通するものの、それぞれに持ち味があり、良かったですよね。

>この2作品は是非DVDで販売して欲しい。
賛成賛成賛成さんせ~~~い!!
作品としてスバラシイですよね。

>もっとたくさんの人に見て欲しいと思いました。
同意同意同意同意!!!!
声を大にして言いたい気にさせる作品たちでした☆

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ナンシー☆チロ

Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
過去記事へのコメントも歓迎です。
尚、宣伝目的や記事に関連のないリンク・コメント・トラックバックなどはこちらで削除させて頂きますので、ご了承下さい。

追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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