蓬(よもぎ)の花

「蓬(よもぎ)の花」
(2008/Taiwan/艾草/Artemisia)



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58歳になるアイツァオは、夫を亡くして以来、女手一つで子供たちを育ててきた。しかし、いい歳になっても結婚に興味のない息子、留学先のフランスから帰国してきたシングルマザーの娘、お金にがめつい母親との関係に心休まらず…。


【第2回 アジアン・クイア映画祭(2009)上映作品】

アジアン・クイア映画祭に戻って、2日目のプログラム。

この日は、ゆっきーとherちゃんと3人で見た。

この作品のことを知ったのは、mixiの 「同志片」 コミュです。
このところの mixiコミュって、貴重な情報源だなあ。

これが今年の映画祭一番の目玉作品じゃないかと思われます。
予想以上の入り、補助椅子・座布団・立ち見も出る大盛況でした。



「いい歳になっても結婚に興味のない息子」
そう、言うまでもなく息子はゲイだから、なのです。

この作品、基本的には家族を描いたものであり、主人公はあくまで アイツアオ(58)であります。
「ゲイ」 というのは物語のひとつのモチーフに過ぎない。

アイツアオは20年前に夫を亡くし、以来女手一つでこどもたちを育ててきた。なので息子は母を大切にしています。
この辺がすごくアジアっぽい感覚だと思う。
息子は、カレシ=凡(ハン)とのデートよりも 「母優先」 にしたり。

alt01.gif 母 優先


そんな恋人の思いを凡はちょっとじれったく思いながらも受け止めてます。
なぜなら凡は彼のことをとっても愛しているからです。
とにかくしょっぱなから、二人はラブラブいちゃこらこいてます。


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息子役 莫子儀 モウ・ズーイーが好青年っぽくキュート☆
凡役 唐振剛 ジェン・カンタンもいかにも現代の青年っぽくステキ。
2007年のアジアン・クイア映画祭上映作品 <ゴー!ゴー!Gボーイズ> は、バカっぽい役でチロ的に今一つだったけど、今回はグ~~だわよ~

erotic なシーンはないけれど、ラブラブな二人の関係が描かれて、見ている側は大満足。
こういう演出っていいよ。
凡が恋人にお揃いのトラ柄ビキニパンツをプレゼントするシーンとか笑っちゃった。(こういう小道具も利いてる)

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台湾の市井の人々、その世代ごとの価値観の相違がうまく描かれている。

前半は息子の問題が中心であったが、後半は娘の問題になる。
長年フランスに留学していた娘が帰国する。
娘は未婚のまま女の子を出産していた。
アイツアオにとって、未婚で出産というのが許し難い上、その子の肌の色が黒いことも受け入れられない。

アイツアオの母親世代(ばーさん)には、大陸=中国というのは外国で、大陸の人と結婚するというのは 「国際結婚」 だった。
アイツアオの亡き夫は大陸の人で、かつて反対されながらも結婚したということもわかって来る。
自分は反対されたけど、立場が逆になるとやっぱり保守的になるのだった。

そんな中、ばーさんの誕生会の日になる。一族が集まるのだが、アイツアオは一人ででかけてしまう。
娘のこと、孫のこと、なんだか ”アヤしい” 息子とその親友。
できれば親戚に知られたくないと思っていたのに、こどもたちが後から揃って駆けつける。

アチャー!
 来ちゃったよ~~と思っていたら・・・。
アイツアオ、開き直って孫娘 ニーナを抱き上げみんなに紹介する。
若い弟や嫁たちにすんなり受け入れられ、チャンチャン なのであった。

世の中はうつり変わっていて、古い価値観に縛られているのは愚かなことですよ、ということなんだろう。


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物語の最後 :
 凡は、出来ればアイツアオに自分たちのことを認めてもらいたいと思っている。
しかし息子は 「(言ったらショックを受けるから) 母さんには言わない」 と言う。
白黒つけるよりグレーのままにすることを望む。
うん、人それぞれの考えがあっていいと思うなあ。

「君がそう思うならそれでいいよ」
愛情深い恋人は、そう言って優しく微笑むのだった――


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この作品はテレビドラマであります。
台湾の公共放送 Public Television Service (PTS) 制作のもの。
PTSは、セクシュアル・マイノリテイを扱った作品が多く放映されているというなんとも奇特な放送局であります。
しかも 「公共放送」 でしょ。台湾ってススんでるのね。

映画祭公式サイトによると、この監督さんは女性なんですね。
姜秀瓊 ジャン・シウチョン 40歳。
演出についておもしろいことを言っていた。

――以前は、見た目のいい俳優を起用することをためらっていました。
顔の良さが邪魔をして、物語に真実味がなくなることを恐れたのです。
ですが、この作品で起用した二人の青年はうまく役の内面を表現してくれた
お陰で、彼らの見た目の良さがさらに演技を引き立てました。


うんうん、その通りだったよ。


尚、ばーさんと孫娘は、演技に関して全くのシロートとのこと。
ほえ~ そうだったんだ。
そう言われてみると、自然体でリアリテイがあったな。
特に、がめつくて口うるさいばーさん。リアル!

しかし、やはり主役 アイツアオ役 潘麗麗 が素晴らしかった。
キャスティングの妙もあり、見終わって、
ああ、いい映画を観たなあ としみじみ思える作品であった。

タイトル <蓬(よもぎ)の花>、 原題 「艾草」 は、アイツアオの名前。 
これが 「よもぎ」 という意味。

===
この会場で、先のシンガポール映画祭で通訳を務めた 松下由美さんを発見!
いろいろお話しちゃった。
やっぱり、中国映画祭でダニエルの、台湾シネフェスでニウ・チェンザーの通訳を務めた人でした。
いろんなエピソードなどもお聞きすることが出来ました。多謝。

最後に
チロ   「次は観ないんですか?」
松下さん「フィリピン映画よね。なんだか濃ゆそうだから今日はこれで帰る」

次の記事は、その濃ゆいフィリピン映画です。


【追 記】 (2009/10/05)


忘れていたんですが、後半母親は娘に、息子についてこんなことを言うシーンがある。

「あの子はむずかしい恋愛をしている」


お母さんはわかっていたんですよね。本人には言ってないけど。
それも母親なりの気遣いなのかも知れません。
「むずかしい恋愛」 ってうまい言葉だなあ、と思った。


メジャーリーグのセクシー・タイムって?PageTopチロ、MLB café TOKYO に行く!

Comment

ご紹介ありがとうございます。

観たいーーー!と思いました。
DVD化希望です。

それぞれに想い合ってるんですね。
しっとりしてて、普通な感じで、家族と繋がってて、いいですね。

■フロリーさん

> 観たいーーー!と思いました。
> DVD化希望です。

ほんとだよねー
あとPTSでは、
台湾的同志電視劇 「孽子」 (ニエズ)
というシリーズがかなりがっつりゲイを描いている秀作らしいです。
今月日本版DVDが発売なので、レンタルに出ないかなあとはかない期待を寄せてマス。

> それぞれに想い合ってるんですね。
それだ!! それを言いたかった!
そうそう、母も息子も互いに想い合ってる。
ありがとう! すっきりしました。

> しっとりしてて、普通な感じで、家族と繋がってて、いいですね。
うん、ふつーなかんじがいいんだよね。
イケメン俳優二人も、悪目立ちせずドラマ全体になじんでました。
こういう作品をもっと見たい、と本当に思いました。

テスト

会社のPCからテストしてみるざんす。

やっと書き込み

地味な作品なのに、あんな「秘密の場所」なのにたくさん人が集まっていて驚いた!!
成人した息子と2人暮らしの中年女の日々の思い・・・なぜに娘は未婚の母で息子はゲイなの?というやり場のない悲しみを淡々と描いているところが心に染みました。
女性監督だったのか・・・台湾のテレビドラマの質の高さに感心。

■ゆっきー

やっと書き込めたッスね。何が原因だったんだろう??

> 地味な作品なのに、あんな「秘密の場所」なのにたくさん人が集まっていて驚いた!!
どれくらい人が来るのか、全く予想できなかったよ。
しかし<よもぎ>、予想以上の人気に驚いた。
まさか立ち見になるとは!? herちゃんありがとうね

>中年女の日々の思い・・・
> やり場のない悲しみを淡々と描いているところが心に染みました。

なるほど~ やり場のない悲しみとは言い得て妙!

> 女性監督だったのか・・・台湾のテレビドラマの質の高さに感心。
ハゲ同です。

ところで、mixiかどこかで言ってる人がいたんですが、あのお母さん、
あんなリッパな物件を買うお金がどこにあるんでしょう?
あれって、ただのひやかしだったのかな?
いつか住んでみたい・・・という実現しない乙女ゴコロ?

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映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
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追記・その他

  (2015/8/24) 「怒り」に追記あり。

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