ジャレッドの旅立ち

「ジャレッドの旅立ち」
(2000/The Journey of Jared Price)


Journey of Jared Price [VHS] [Import]Journey of Jared Price [VHS] [Import]
(2000/12/26)
Corey Spears、Mark Marsh 他

商品詳細を見る


少年の大人への旅立ちを瑞々しく描くダスティン・ランス・ブラック監督作。ジョージアからリュックひとつで出て来たジャレッドは、ある老夫人の世話人として雇われる。ある日、夫人の息子・マシューに誘惑されベッドを共にした彼だったが…。


7・8年くらい前スカパーの深夜に、クイア映画枠というのがあった。
その時そこで見たんだけど、近年これが、ダスティン・ランス・ブラックの脚本・監督作品だったと知り見直してみた。
<J・エドガー> からの ダスティン・ランス・ブラック つながりでひとつ。

19歳のジャレッドは、ジョージアからハリウッドにやって来た。
ほどなくリッチな盲目のヘインズ夫人のヘルパーのバイトが決まる。
ある日夫人の一人息子マシューに誘惑されたジャレッドは・・・。


昔見た時は、なんか印象の薄い今ひとつぱっとしない作品だよな、と思ったけど、今回、心して見たらおもしろかったです(← 権威に弱いチロル)

最初に泊まったホステルで、ジャレッドはロバートと知り合う。
ロバートはジャレッドを口説いて来る。
(なんだかこのホステルはゲイの巣窟みたいな?)
今まで女のコとしかつき合ったことないし、そんなこと言われても・・・と断るジャレッド。
ロバートはめげずに、それでもいいからともだちでいて、と言う。

jared015.jpg


とか言いながらジャレッドは、ジョジ・クル風フェロモンムンムンのマシューに言い寄られ、ベッドで気持ちよくなっちゃってるし。
いつか南アフリカに連れて行ってあげよう、なあんて言われて、リッチな大人の男マシューにぽーっ。すっかり彼とつき合ってるつもりのジャレッド。

しかしマシューには3年つき合っているステデイなカレ アンドリューがいた。
マシューは最近二人の関係に飽き不満を抱いていた。

jared012.jpg


会社で友人でもある秘書にその不満をこぼし、
「”オープンな関係” にして変化を楽しみたい」 なんて言う。
ここでも、”オープン・リレーションシップ”!! 
この秘書、ウーピー・ゴールドバーグ風皮肉屋、なかなかいいキャラ。

jared014.jpg


何か変わった趣向を考えようとマシューが提案したのが レザー系ハードゲイプレイ! っていうのがあまりに陳腐でちょっと鼻白んじゃうけど。意外に現実はこんなもんなのかしらね。

アンドリューはマシューを愛していて何の不満もない。
マシューのプレイにつき合ってやってるかんじ。

次にマシューが提案したのが、最近知り合ったキュートな ”19歳の男のコ” を交えて三人で楽しもう、というものだった。

ジャレッドはマシューからデートに誘われいそいそと出かける。と、そこにはアンドリューがいた。
――僕たちの関係?
”ゲイの夫婦” ってとこかな。気持ちの上では。
いつか同性婚が認められたら、”揃って旦那様(husband)” さ

アンドリューにそう言われショックを受けるジャレッド。
サンタモニカ・ピアでの食事の後、流されるまま二人の家に行ったジャレッドは――
(ふーむ、やっぱり同性婚は、二人が ”husband” なんだな)


この話の救いは、アンドリューが ”まともな人” だったということ。
ジャレッドを家まで送る車の中でアンドリューは言う。

――僕たちは強く愛し合っている
ただ問題がいろいろあるんだ
おかしな話だけど、まだ修復の余地はあると信じてる
僕は彼を愛してる、彼だけを。
すまなかった


jared016.jpg


終わってみたら、今回のジャレッドの旅は、自分のやりたいことを探す旅であったんだけど、自分のセクシュアリティを探す旅でもあったんだな。
ジョージアという南部の街で己のセクシュアリティを自覚し始め、街を出たかったんだよね。
ハリウッドに来て自分では否定していたけれど、ロバートにもマシューにも、「一目見たらわかったよ」 と言われてた(笑)


キャラクターの人物造形がなかなかよく出来ている。
ヘインズ夫人は元女優、亡き夫は映画監督。
年老いて視力を失っても今なお美しい。
一人息子が訪ねて来る時、ベッドから出て必ず着替えて居間で会う。
元女優の矜持を忘れない。厳しいが優しい女性。
夫人とジャレッドの心のふれあいが微笑ましい。

jared011.jpg


印象に残ったシーン : プールサイドでジャレッドの作ったランチを二人で食べている 

――ほんとに何年ぶりかしら
おいしいわ
ピーナツバターは買ったことないの
太るから主人が嫌ってたの
私は粒入りが好き
――明日みつけて買って来ます
――そうね、でもピーナツバターはやっぱりよしましょ・・・

なんてやりとりからこの夫人の生き方が見えるのだった。

夫人は息子の訪問を何より楽しみにしているが息子はつれない。
自分の性指向を夫人に知られたくないという気持ちがそうさせたのかも知れない。
しかし、離れて暮らしている息子のこと、息子とジャレッドのこと、目は見えないが夫人には何もかもお見通しかのようだった。

マシューのどこかこわれた心は、彼の生い立ちや家庭環境に関係しているよう。
不誠実なマシューではあるが、心の底ではアンドリューのことを愛しているんだよな。(めんどくさいヤツ)
アンドリューの言う通り、彼にはいろいろ問題があるね。
それら全てをわかってまるごと愛していると言ってくれたアンドリュー。
しかし、二人はこれからどうなるのか??
マシュー本人が早くそれに気づかないと。→ アンドリューはよくできた健気受

最後に夫人はジャレッドに言う。

――贈り物や甘い言葉ばかりくれる相手は無視しなさい
あなたの心を大切にしてくれる男性について行くのよ
――なぜ ”男性” と?
――人は目だけで物事を見るわけじゃないわ


ヘインズ夫人の言葉に、ジャレッドの選択は?



終わってみるとあと味いい青春ラブストーリーだった。
19歳の青年の大人への旅立ち、な一作。

ジャレッドはダスティン・ランス・ブラックの投影でもあるのかな?
うがった見方? ちなみにダスティンはカリフォルニア、サクラメント生まれ。ジョージアなんかじゃない。
↓ なんかジャレッドに似てるような気がしなくもないダスティン。

jared04.jpg


キャストは無名の人が多い。
唯一マシュー役は、その後も活躍しているみたい。
ありゃ、スティーヴ・タイラー だって! (スティーヴン・タイラーじゃないぞ

jared03.jpg
↑ マシューの時はアブないナイスミドルだったのに、
今はこんなにさわやかなおっさん。


メインロケはヘインズ夫人の家、後はほとんど屋外ロケ、ビッグネームはいない。
どんだけ低予算? とImdbを見ていたら

Budget: $30,000 (estimated)

って項目があった。ほんと? 安っ!


JUST A QUESTION OF LOVEPageTopJ・エドガー

Comment

きゃー、奇遇です。つい数日前、私もこの映画を観ました。(レンタルですが・・。)

なんでも日本では主にゲイポルノを出しているレーベルから
発売されていたようですよ。(いまはもうないレーベルかもしれませんが。)

内容も面白かったし、キャストもよかった。
もちろんゲイポルノではなく、爽やかな内容でした。
チロさんのいうとおり、あと味いい青春ラブストーリーでしたね。

ヘインズ夫人がよかった。世間知らずなようでいて、
実はなんでもお見通しってところが痛快でした。
そして素敵なアドバイスをくれるのですよね。
最後の場面でさんざん袖にしてきたロバートを、
自分からデートに誘う場面がかわいい感じでしたね。

☆この監督さんの脚本の「J・エドガー」観たいのですが、
私の町では上映されないようで、がっかりです。
わたしも食わず嫌いのディカプリオだったのですが、「
デパーデット」という映画を観て以来、嫌いということがなくなっていたし、
今回は内容が内容だけの楽しみにしていたのに。
レンタルまで待ちますね。
ところでクライド役のアーミー・ハマーがマリファナ所持で捕まったとか・・・。
アカデミー賞ノミネート直前のできごとだったようです。
ノミネートとは関係ないとは思いますが・・・。

それでは、また。

■まつじんさん

きゃー、奇遇ですね~ (パクリ

> なんでも日本では主にゲイポルノを出しているレーベルから
> 発売されていたようですよ。(いまはもうないレーベルかもしれませんが。)
ああああ 言われたら思い出してきた。
その会社 S.I.G.ですよね。今はもうないのかな?
そのスカパーのクイア映画枠は、そこのレーベルのシリーズを放送していたよ。
他のに比べてこれはさわやか系だったので、印象が薄かったのかも。
でも後から考えると、マシューとアンドリューのHシーンとか、
むだにハード目じゃなかったっすか?

> ヘインズ夫人がよかった。世間知らずなようでいて、
> 実はなんでもお見通しってところが痛快でした。
最後の封筒の中身・・・。
またジャレッドが仕事と関係なく夫人を訪ねてくれたらいいなと
願わずにいられませんでした

> 最後の場面でさんざん袖にしてきたロバートを、
> 自分からデートに誘う場面がかわいい感じでしたね。
そうそう、ロバートとジャレッドのラブはとってもカワイイ☆
ロバートのビデオレターのアイデアもよかった。
これがほんとのラブだよな、ってかんじ。

> ☆この監督さんの脚本の「J・エドガー」観たいのですが、
> 私の町では上映されないようで、がっかりです。
巨匠クリントの作品なのに・・・。残念ですね。
巨匠の作品だけにDVD化はきっと早いのでは。

> ところでクライド役のアーミー・ハマーがマリファナ所持で捕まったとか・・・。
知らなかったです。
ノってる時なのに残念なニュースだな・・・。

Commentの投稿

 管理人だけに表示する

プロフィール

ナンシー☆チロ

Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
過去記事へのコメントも歓迎です。
尚、宣伝目的や記事に関連のないリンク・コメント・トラックバックなどはこちらで削除させて頂きますので、ご了承下さい。

追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

リンク
最近の記事
最近のコメント
月別アーカイブ(タブ)

最近のトラックバック
カテゴリ
カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

ブログ内検索

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
QRコード

QRコード

RSSフィード