映画 瘋癲老人日記

映画 「瘋癲老人日記」
(1962/大映東京)


瘋癲老人日記 [DVD]瘋癲老人日記 [DVD]
(2008/07/04)
山村聡東山千栄子

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軽い脳溢血で寝たり起きたりの日々を送る77歳の老人・督助をある日、息子の嫁が浴室から誘惑してくる。彼女の脚に魅了された督助は、消え去ろうとする性欲を甦らせようとするが…。

≪きらめく女優たち1 みつめていたい! 若尾文子≫ その3 @神保町シアター

いつにも増して年齢層が高かったこの回もチケット完売。
<夜の罠>の一途な若妻、<家庭の事情>のOL、今回は一転、しゅうとを翻弄するしたたかな嫁の文子サマなのだった。


始まってすぐ、この家のリッチさに庶民のチロは、おおお・・・とうなってしまった。
この家には、お手伝いさん三人、住み込みのナース、お抱え運転手がいて、車が三台、プールが作れるくらいの庭もある。

箱根の大観荘でじーさんの喜寿のお祝い。
京都と辻堂に嫁に行った娘二人とその孫も招き、女たちは旅先だというのに晴れ着に着替え、孫娘は琴を弾いて祝う。
なんて優雅なんざましょう。
(但し、この箱根のエピソードは原作にはない)
リッチな家だからこそこの話は成り立つ。これが長屋のしゅうとと嫁じゃあみみっちい話になっちゃう。

さすが谷崎、deepな世界だわね。
77歳のじーさんは、足フェチでM男であり、長男の嫁 颯子(さつこ)は女王様なのだ。

――四つん這いになってここまで這って来て、ワンと言ってごらん

颯子女王様はこんなことを言ったりするが、さすがに 「え・・・」とひるむじーさんに、

――うそよ、おじいちゃんにそんなことさせるわけないでしょ


と引いてみたりする。みごとな手綱さばきなのよね。
聡い颯子女王は、どうしたらじーさんが喜ぶかということをよくわかっている。

――わたし、これからシャワー浴びるけど、カギはいつもかけないの


などと言ってじーさんを悩ませる。
こうやってじーさんを誘惑し、時におねだりをする。
結局はじーさんがまだこの家の長であり、颯子は自分がこの家を支配しようとする政治的戦略もあるのよね。

===
この作品、原作からずいぶん脚本に手が加えられている。
それをいい悪いと言うのはひとまず置いといて、映像の強みを感じさせるところがあった。
たとえば、シャワールームに入っていい、と言うのでじーさんが入って行くと、颯子にシャワーをかけられたりする。
リウマチで手と足が不自由なじーさんは、パジャマに靴下のままびしょぬれ。
タイルに足を滑らせて何度も転ぶじーさんに、いつ死んじゃうのか、ハラハラドキドキ!(血圧も高い)

それからこの映画のもっともインパクトあるシーンのひとつ。
リウマチが痛いだのなんだの言って、接吻してくれたら良くなる、というじーさんに颯子はしようがなく、仰向けに寝たじーさんの口に少し上から唾液を一滴垂らすのよ。
文子サマの口からぽとりと垂れた唾液。まさにマニアには ”垂涎” の的と言えましょう。
これも映像ならではのインパクトでしょ。

===
このしたたかな嫁を文子サマが好演する。
足に接吻させてくれと頼むじーさんに、

――まあ、図々しい。
そんなことを言うなら睡眠薬飲ませちゃう。はい、2錠


なあんていうおそろしくもキュートな小悪魔ぶりがたまらない~~

足フェチのじーさんのお気に入りだけあって、今回文子サマの美脚っぷりにあらためて感じ入ったのだった。
颯子女王はたくさんコスチュームをお持ちなので、リッチ&ゴージャスな文子サマファッションがいろいろ楽しめる。ファン必見。

一方、山村聡、<家庭の事情> もこれと同じ '62年作品。
あちらは実年齢の52歳、こちらは77歳の設定。ほんとにじーさんに見えた。
それはともかく、まさかあの山村聡がこんなことまでするとわ・・・。ぎょえ!

その他の出演者:
大奥様に東山千栄子。この人の 「先生に診てお貰いになったら?」なんていう日本語のセリフが美しい。
以下、川崎敬三、村田知栄子、丹阿弥谷津子、石井竜一、倉田マユミ(→ 倉田マユミはたしか今回見た三作品すべてに出ていた)

――今日は首に接吻させたげる

”ネッキング” の見返りに、颯子はキャッツアイをおねだりする。
価格 300万円。
家に帰って調べたら(原作小説の注解による)、この時代の大卒初任給は1万円、現在の貨幣価値はおよそ20倍という。
えっ、6千万の指輪!!?
じーさんは彼女に買うなら全然惜しくないという。
うーむ、おねだりする颯子も颯子だが、ぽんと買ってやるじーさんもじーさんなのだった。
さすが谷崎、やることがみみっちくないわあ~~

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Comment

そうか。
これ文子サマで映画になってるんですね。
こんな紹介されたら、ものすごい見たいわ~。

谷崎文学が最近映像化されなのは、金がかかりすぎるからだな。
「細雪」を呉服屋とタイアップ、豪華キャストで映画化っていう時代じゃないもんね。
CGでごまかせない部分に金がかかるし。

しかし60年代の文芸映画って、妙にエロチックなんですよね。その理由は・・・文芸で萌えてたJUNE世代にはなんとなくわかります(笑)

■ゆっきー


> こんな紹介されたら、ものすごい見たいわ~。
見てよ、見てよ~! きっと近くのTSUT○YAにあるはず。 (うちの地元にあったくらいだから)

> 「細雪」を呉服屋とタイアップ、豪華キャストで映画化っていう時代じゃないもんね。
・・・「細雪」・・・ また見たい。何度でも見たい。
どのバージョンのも好きだ。
そうそう、昔はそのテのタイアップで成り立ってたね。

> しかし60年代の文芸映画って、妙にエロチックなんですよね。
エロチックという点でこれは思ってた以上だったわよ。いちいちが、ほえ~、ここまでやるか、ってなかんじ。
なんつーか、エロスのベクトルが今と違うところを目指してる気がする。

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  (2015/8/24) 「怒り」に追記あり。

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