妻は告白する

「妻は告白する」
(1961/大映)

妻は告白する [DVD]妻は告白する [DVD]
(2004/11/26)
若尾文子川口浩

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北穂高山麓を登るパーティのひとりである大学助教授・滝川(小沢栄太郎)が墜落死。そのザイルを切ったのは妻の彩子(若尾文子)。同じくザイルに繋がれていた彼女の愛人・幸田(川口浩)の命を救うためであった。やがて殺意の有無を問う裁判が始まるが、その中で彩子は…。


コワい! すごくコワい!! 

そしてとても哀しい・・・。



彩子は苦学生だった頃、助教授・滝川に犯され、貧乏から逃れたいとそのまま結婚する。
しかし愛のない結婚生活に彩子の心は荒んで行く。
その頃滝川の仕事関係で、若い幸田が家に出入りするようになる。
好青年の幸田に彩子は惹かれて行く。
嫉妬深い夫は二人の仲を疑い、ある日三人で山に登る。
遭難し一番下に繋がれた夫のザイルを切った彩子、
彩子の殺意はあったのかなかったのか?
裁判の行方は??


今回の文子サマの役どころは、じっとりと湿度の高い女 彩子。
「女の業」をみごとに演じ切った。すごいわ、文子サマ。

最初からいろいろツッコミたいところはあるのよね。
山の好きな夫は、彩子と幸田を苦しめてやる、と山にはトーシロの二人を難所の登山行に誘う。
それが難所どころじゃなくて、断崖絶壁をロープで三人が繋がって登るようなとこなのよ。
いくらなんでもそんなところにトーシロ(しかも女1含む)を連れて行く方も行く方だけど、従う方も従う方だと思うわよ。
シロート目にはアイガー北壁みたいなとこよ。そりゃ、つらくてザイルを切るのもしょうがないじゃあないの。

滝川は助教授だけど、けっこコ汚い家に住んでるのよね。
で、ある日彩子が妊娠を告げると、
「月給4万で、どうやってこどもを養えるんだー!」
と怒鳴るわけ。
こどもも持てない給料の助教授ってありっすか!? と思ったけど。
これは夫のポーズだったかしらね。
(先日の <瘋癲老人日記> の注解だと(両方同時代)、貨幣価値20倍の法則だと80万位もらってることになる)

このストーリー、人物造形が深く、考えさせられる。
非道な男滝川は、実は彩子を愛していたのだが、それをゆがんだ形でしか表現できない不器用な男なのだ。
登山の直前に自ら生命保険の金額を3倍に変更している。
これは彩子を試す為だったのではないか。
「可愛さ余って憎さ百倍」
というセリフも劇中に出て来る。

この役を小沢栄太郎が演じる。
昨年山村聡についても同じことを言ったが、この人も気づいたらずーーっと ひひじじいだった気がする。
すごいおじいさんに見えたが、劇中では四十代と言っている。
うそっ! ありえね~~!
またも実年齢をチェックしてしまった。
1909年生まれ、この時52歳。見えねえ~~

原作は、円山雅也である。彼は今の ”タレント弁護士” のハシリだったよね。
その上、小説も書いて、国会議員にもなった。
先日の源氏鶏太 (<青空娘> ) に続いて、当時は人気だったが今は読まれない作家だな。



さて、文子サマである。
終盤自分を避け会おうとしなくなった幸田の会社に現れる文子サマ、おそろしい・・・。
チロは、楳図先生の <ママがこわい>(へび女) を思い出した。
文子サマの演技も素晴らしいが、増村保造の演出が冴えてるわ。
女って哀しいね・・・。
とにかくむずかしい役だったよ、これは。

DVDには、なんと文子サマのコメンタリがあります。(聴き手は大映企画部 藤井浩明氏)
これが非常にいいです。
当時のエピソードや苦労話など貴重なコメントとなりました。
文子サマ自身、この作品は転機の一作で、思い入れのある増村保造作品の一本に上げてた(ちなみに他の一本は <清作の妻>)

ここで文子サマは、増村保造のイタリア留学経験が活きていると言っていたのだが、言われてみるとたしかに、この彩子という女は、ヨーロッパ的な自我のある女性の生き方と見ることも出来る。フランス映画なんかにいそうだ。(シモーヌ・シニョレあたりが演りそう)

とはいえ、私は彩子という女を見ていて

「女というのは過去も未来もない、現在(いま)があるばかり」

という <鬼平犯科帳> の言葉が頭に浮かぶのだった。


ラスト・ゲームPageTop青空娘

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Author:ナンシー☆チロ
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マイナー路線でごめんなさい。
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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