若者のすべて

「若者のすべて」
(1960/イタリア/Rocco e i suoi Fratelli)



rocco04.jpg


長男・ヴィンチェンツォを頼り、成功を夢見てイタリア南部からミラノへとやって来たパロンディ一家。しかし、彼らは残酷な現実に直面することになる。

この映画祭のチロ的目玉はこれ。
ヴィスコンティの初期作品は未見の物が多いのだ。
大きいスクリーンで観ることが出来て幸せです。

当日になって上映時間が177分と知った。
約3時間・・・非常にマズい予感・・・。
ヴィスコンティ先生、ごめんなさい! 上映前に 「強強打破」(「眠眠打破」の強力バージョン)を飲んでしまいました。
→ これは効く!

【 アラン・ドロン生誕75周年記念映画祭 】 @新宿 K’scinema その4


モニカ・スターリング <ルキーノ・ヴィスコンティ ある貴族の生涯>
《 17章 : 神聖な ”南部” の貧しさ アラン・ドロンと <若者のすべて> 》
にこんなくだりがある。

――この映画以降ドロンは一躍国際的なスターとなって、劇場側が歓迎する
ぺてん師やギャング役を演じる映画に次々と出演した。
したがってロッコを演ずる彼を見ていない人には、ヴィスコンティの厳しい指導に耐えて、彼がこの役で演じ切った輝くばかりの愚直さと、悲哀と、芯の強さを想像するのは難しいかも知れない。


はい、まっタコイカにも おっしゃる通り。
こんなドロンがいたなんて・・・雷に打たれたような衝撃でした。

冒頭、ミラノ中央駅、南部からの列車が着き、バロンディ一家がホームに降り立つ。
貧しく疲れた表情の母と息子4人。
しかし三男ロッコ役 アラン・ドロンだけは一人際立っている。
この時ドロン 25歳、頬は削げ、青年特有の清冽な美しさがある。

これまで見て来たドロンの魅力 : 邪悪で野心家、傲慢、冷酷・・・
ロッコはその対極にある。
善良、素朴、謙虚、従順、純粋、自己犠牲・・・
彼はこの作品の中で 「聖人」 なのだ。
しかし、「聖人」 の寛容と同情が破滅を招く。

「聖人」 のアラン・ドロンが見られるとは! ドロンファンはこれを見なくちゃお話にならないわね。
だけどこれ、ヴィスコンティ・マジックよね。
賢明なドロンは自分の本質をわかっていて、自分に 「聖人」役の二度目はないと悟ったのだと思うわ。
だからこれ以降(前述の)「ぺてん師やギャング役」を演り続けたのよ。

ヴィスコンティは最初から、ロッコの役は彼と決めていた。
そのルキーノの期待にみごとに応えた美しい生き物、ルキーノが彼を愛さないわけはないわよね。

ロッコは一人過酷な運命を背負っているので(「聖人」ゆえに)、劇中何度か泣くシーンがあるんだけど、それがほんとに見る者をせつなくさせる。
一方でこんなに美しい青年が泣いているということに嗜虐的な快感も感じたりする。ううむ・・・。

rocco05.jpeg


===
ところで前述モニカ・スターリングのヴィスコンティ本のこの章には、ルキーノと当局との検閲を巡る戦いに多くのページが割かれている。
この作品の、次男シモーネの娼婦殺しのシーンが執拗で残酷すぎるという言い分なのだ。
日本の検閲や修正もひどいと思っていたけど、いずこも同じってことだわね。
イタリアなんて芸術に寛容と思うけど。バチカンのお膝元という事情もあるのかもね。
ルキーノはこういう戦いにはとことん頑固で、徹底的に戦わねば気が済まない人だった、というのには笑ってしまった。


ミラノ大聖堂が重要なシーンで使われている。
ルキーノの祖先が建てた大聖堂、ミラノ市民にとってここは日常的に訪れる馴染み深いところなのだという。
(共演は <ショック療法> と同じ、アニー・ジラルド)

rocco02.jpg

音楽:ニーノ・ロータ、衣装:ピエロ・トージ。
(<世にも怪奇な物語>と同じ)
ニーノ・ロータの曲がせつなくも美しい。


===
こんなに純粋で美しいドロンを見られる幸福・・・。
このドロンは、星とか宝石とかそのきらめきが尊いような存在でした。
この名作を我々に残してくれたヴィスコンティ先生、ありがとう。
神様、ありがとう・・・という一作。
ヴィスコンティ作品ではよくあるのだが、観終わってしばらく、こちらの世界に帰って来られなかったとです。ああ・・・。

私と運転席の男たちPageTopショック療法

Comment

こんにちは

アランドロンは《太陽がいっぱい》よりも、ヴィスコンティ作品
のほうが私のお気に入りです。

それでは、2008年10月19日の更新記事に助演男優が
「上等の性悪ネコみたい」で大変イイとされているので、動
画をぜひご覧になってください。

http://www.youtube.com/watch?v=L6Sdy1rsrho&feature=related

■歩行者さん

コメントありがとうございます。

> アランドロンは《太陽がいっぱい》よりも、ヴィスコンティ作品
> のほうが私のお気に入りです。
なるほど~ 
実は「山猫」も未見なのですが、これはスチールを見ているだけで
「美の極み」ですな。劇場でやるのを待ってます。

> 「上等の性悪ネコみたい」で大変イイとされているので、動
> 画をぜひご覧になってください。

おおおおおおおお
ありがとうございます!!!!!
たしかに アラン・ヌーリーだわ!
あんまり久しぶりだったもんで、あれ、こんな顔だっけ?
と一瞬とまどってしまった。
やっぱり性悪猫属性!
もう一人の男のマッシュルームヘアが時代を感じさせますね。
これ何のフィルムなんだろう?
他のも気になってみちゃった。
犬と戯れる編などはプライベートフィルムっぽいけど。
(L'après-midi de la faune )
おもしろかったです。多謝。

再度コンニチハ!

日本ではヒットしないであろう男女の織り成す歌とダンス
ですが、けっこうイケテいます。一度ご覧になってください。

大自然の中で、すがすがしい体全体を使ったダンスは、まことに健康的です。

アラン・ドロンとは違った意味でイイ男だと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=lYkOYWTPMEQ

■歩行者さん


> 大自然の中で、すがすがしい体全体を使ったダンスは、まことに健康的です。

いやいやいや、deepです、歩行者さん。
さすがインド(だよねえ??)奥深いわ。
大自然の中で・・・という発想自体日本にはないッス。
この男のひと、さり気なくすごいマッスル!

コメントの、
fantastic quality!
great quality!
というのにウケました。

ミュージカル?

チロルさん、こんにちは。

歩行者さんの動画紹介にも何も動じずにコメントをしていらっしゃるので、ミュージカル嫌悪はないとお見受けしました。

アラン・ドロンには関係ないのですが、そしてアラン・ドロンほどの美貌ではないのですが、こんなミュージカル仕立てはいかがでしょうか。「Cheyenne Jackson - Don't Wanna Know」(https://www.youtube.com/watch?v=6Olnt5bVDxY)というアメリカのゲイであることを公表している歌手・俳優のシャイアン・ジャクソンの歌のプロモーション用のMVで、少しミニドラマ風でもあります。
同棲していた男が去って行ったので独りぼっちになったシャイアン。久しぶりに男でも探しに行こうとして、いい男を見つけてよさそうになるたび、前の男の幻影が邪魔をします。
やっと通りのカフェテラスで前の男を見つけて、彼もシャイアンを認めてニコッとしたと思ったら……。

楽しんでいただけたら、幸いです。

■フロイントさん


>「Cheyenne Jackson - Don't Wanna Know」
楽しかったです!
こういうミュージカル仕立て 好き!
曲もよかったッス。
オチがせつねーです。
シャイアン、どっかで見た顔だなあと思ったら、最近ではAmerican Horror Storyで見たんだ!

この動画を見た時、右の関連動画で 
Chris Salvatore https://www.youtube.com/watch?v=KfYZP4ZME8c あり。うれしい発見!
見てみたら、
これも意外なオチが後半にありぃの、ラスト、クリスの微笑みのお相手は??
ってところで悶絶・・・でした(笑)
クリスは、レズビアン&ゲイ映画祭で見た「ボクらのはっちゃけウイークエンド~EATING OUT シリーズ」でファンになりました。

chris salvatore !

ミュージカル仕立てといえば・・・

[Eating Out 4: Drama Camp]の記事でもあげたのですが、
クリスの 「drama queen」
https://www.youtube.com/watch?v=-VLwxqa7woc7
も、ミュージカル仕立てっちゃ~ミュージカル仕立て?
私は好きなんですけど。

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ナンシー☆チロ

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マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
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  (2015/8/24) 「怒り」に追記あり。

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