「しあわせの雨傘」
(2010/FRANCE/POTICHE)
ブルジョワ主婦のスザンヌは、雨傘工場を経営する亭主関白な夫ロベールと優雅で退屈な毎日をおくっていた。ある日、心臓発作で倒れたロベールに代わり、スザンヌが工場の運営を任されてしまう。彼女は主婦ならではの感性で、傾きかけていた工場を見事に立て直すが……。今年の劇場映画一発目は、フランソワ・オゾン新作のこれ!
@ TOHOシネマズシャンテ
正月をはさんで12月・1月にオゾン作品が公開された。
12月公開の <Ricky> あっちゅーまに公開終了しちまって見逃した!
暮れの忙しい時期に公開するのはやめて欲しいなあ。
(するなら年明けまでやっててよ)
カトリーヌ・ドヌーブ = ジャージ姿 ・・・
この二つ、この世でもっとも対極にあると思われる。
映画ファンなら、「何なのこの映画??」 と思うに違いない。
観終わって一番感じたのは、ドヌーブの、フランソワ・オゾンへの全幅の信頼、二人の絆の深さ。
世界の映画界で今、ドヌーブにジャージを着せられるのはオゾンしかいまい。
又、オゾンはそのドヌーブの信頼に応え、スクリーンに彼女の魅力を最大限に描いた。
原題: 「POTICHE」= 「ポティッシュ」 は、暖炉や棚の上に飾られる贅沢で豪華だが実用性のない花瓶やツボのこと、転じて、美しいが夫の陰に隠れ、自分のアイデンティティーを持たない女性に対して軽蔑的に用いられる。
ブルジョアマダムのスザンヌは、まさに 「ポティッシュ」 だったが、夫が心臓発作で倒れたのを機に、雨傘工場の経営を任されることになり、新しい自分をみつける・・・。
物語の前半は、ヘアスタイルもファッションもコンサバティヴな ”ブルジョア主婦” のスザンヌが、経営手腕を発揮し、自立した女性として目覚めて行く後半には、ヘアやファッションはもちろん、身のこなしや表情もすっかり変わって行く。
そんなスザンヌを、カトリーヌ・ドヌーブは圧倒的な存在感で演じる。
若い時のドヌーブは、死美人のような美しさだったが、歳を重ねた今の方が私は好きだ。
ダンスもするし、最後は歌まで歌う、ドヌーブ大活躍よ!
ドヌーブをこんなにいきいきと撮ってくれるのはオゾンを措いて他になし。
今回のヘアや衣装は、ドヌーブと衣装担当 パスカリーヌ・シャヴァンヌ が、意見を出し合って作り上げたそうな。
オープニングのジャージ姿は、ドヌーブの意見が反映された。
―― 映画のトーンを決める為に、最初のシーンに何か突飛なものが必要だったのおみごと!
アルモドヴァルといい、ゲイの監督って、どうしてこんなにみごとに女性賛歌の映画を作るのかしら。
横暴で浮気な夫、裏切られたと勝手に逆ギレする昔のオトコ、オゾンの男への目線はキビしいゾ!
男社会への皮肉や、スザンヌの娘の生き方など奥行きのある描き方がうまい。
→ 娘は「ママのようなポティッシュには絶対なりたくないの」と言っていたのだが、結局は仕事をあきらめ自分は家庭に入ることになる。
さて、フランソワ・オゾンと言えば、どこにその ”かぐわしいゲイテイストのかほり” があるかというのが楽しみでもある。 くんくん

スザンヌの息子 ローランは、当初婚約者とラブラブで結婚間近であった。
(その婚約者は ”わけあり” で、”なぜか” ローランのパパは大反対するのだが・・・)
最初はブルジョワのボンボンだったローランだが、母の仕事を手伝う内、己の生き方を方向転換して行く。
そしていつのまにか婚約破棄し、行きついた先は・・・

相手のカレが美青年でした

(実はそのカレも笑える ”わけあり”)
ローランを演じる ジェレミー・レニエ、
<約束の葡萄畑>(1/03) の主役だった。
こちらは骨太なワイン職人だったが、今回はいかにもオゾン仕様のメンズになっていて笑ってしまった。
オゾンってこういうキャラ、好みだよね。

脱いでもスゴい!あと、娘役 ジュディット・ゴドレーシュ、こういうブロンド娘キャラもオゾンの定番。
時代設定が1977年なので、ファラフォーセット・メジャース風ゴージャスヘアが懐かしい(笑)

大いに笑えるおしゃれな秀作。
フランソワ・オゾンファン大満足の一作。
やはり、オゾン、ただ者ではない。
相変わらずキュートなオゾン☆関連記事 :
「エンジェル」
たぶん「初のオゾン作品」だと思います。
今年のじゃなくてね、今までで。
私も「リッキー」は見逃しました。
観たいと思ってた作品は大概観てるのだけど、
これと「ゲーマー」と「エクスペリメント」は見逃したな。
今までなんでオゾン作品観てなかったのか、
自分でもよくわからないんだけど、
これから過去作品を観てみようかと思いましたよ、ええ。
やっぱりセンスが素敵だなあと。
ジェレミー・レニエの息子役が良かったっす。
脱ぐと凄いのな~w
小技の効いた笑いがたくさんあって、とても楽しめました。
ところで、劇場(シャンテ)は相当年齢層が高かったけど、
これは「徹子の部屋」にドヌーヴが出たからですかね?
目の前に新しくできたスタバの店内は、この映画を観るために待ってた人ばかりだったのが笑えました。