痴人の愛

「痴人の愛」(1949/大映)

naomi01.jpg

堅物の譲治(宇野)はカフェーの女給ナオミ(京)の虜となり、理想の女に仕上げようと血道をあげるが……。

かつて文壇と日本映画は蜜月関係にあった。
多くの文学作品が次々と映画化された。
「文壇」というものが存在し、「文豪」と言われる人たちがいた時代があった。

昨年、<若尾文子祭り> でお世話になった神保町シアターが、またまた素晴らしい企画をやってくれました。

<文豪と女優とエロスの風景> その1 @神保町シアター


2月5日から3月4日まで

ここ神保町シアターにはポイントカードがあります。
映画を5本見ると、1本無料で見られるのです。
昨年の 「若尾文子祭り」でポイントを貯めた為、この作品はそのポイントで見ることが出来ました。
こういうサービスって素晴らしいと思います。小さなことからコツコツと。

神保町シアターのサイト で各作品の画像が見られます。



カタブツの譲治は恋愛経験もないが、ある理念があった。
一人の女を自分の理想の女性に作り上げる、というものだった。
カフェの女給 ナオミを見出し家に連れて来る。
彼女にきれいな服を与え、ピアノや英語を習わせる。
しかしナオミには、そんな”教養”は苦痛でしかなく、それよりスクーターでぶっ飛ばしたり、男たちにちやほやされて飲み歩いたりしたいのだった・・・。


谷崎の原作は未読なんだけど、なんか不思議な話なんだわ。
<痴人の愛> というタイトルから、ちょっと頭の○○(ピー)な人の話かと思っていたらそんなことはなく、早い話、ビッチな女なのよ、って言ったら元も子もないか。
若いムスメにメロメロで翻弄される男という図式は、見ていて、ちょっとエ○カ様をホーフツとさせるところもあり。

ムスメのどんなわがままでも聞いてやっていた譲治だが、ナオミが若い男たちと浮気していたことが分かり家から叩き出す。


(以下ネタバレあり)

ナオミは再び夜の世界へと戻るが、ボロボロになって町に戻って来る。
偶然会った旧知の熊谷(浮気相手)に、人にはそれぞれ戻るべき世界がある、と言われ、譲治の元に戻るのだった――

という映画的大団円で物語は終わるのだが、チロには非常に違和感が残った。
”大いなるビッチ” ナオミが、最後は皿洗いをして譲治の気を惹き、「これからはいい子になるから」 と泣いてすがる。

これは違うだろ?! 谷崎の世界じゃない。
と、原作を調べてみたら・・・。

家を出されたナオミはダンスホールで知り合った男の家に泊まり、豪華な服装で遊び歩いている。
その後荷物を取りに来る口実で、再び譲治の家にいりびたる。
ナオミはますます美しくなっていく。愛想を尽かしても尚ナオミの肉体的魅力に抗えない譲治。
彼はついにナオミに全面降伏する。彼はもうナオミの言いなりで、美しいナオミの肉体の奴隷として生きて行く。

これでこそ谷崎! これなら大いに納得よ~。
大体 「一人の女を自分の理想に育てる」 なんて傲岸不遜なことではないか。
なので最後には女の前に男が屈服する、というところにこの話のキモがある。
なのに、ナオミが泣いてすがっちゃあだめじゃん。
男の都合のいいような話になっちゃって・・・いかがなものか。

この作品が製作された1949年という時代には、話をこんなふうにまとめないとダメだったんだろう。
娯楽作品、商業作品に仕上げたという事情もあるかも。
しかし、谷崎の原作が書かれたのは1924年、谷崎ってやっぱりグレート!

終戦から4年しか経っていないこの時、映画に描かれている世界は観客にとって別世界に見えたでしょうね。
譲治がナオミの為に借りた洋館はハイカラだし、ナオミの着ているベビードールやネグリジェはゴージャスだし、部屋にはピアノ、スクーターも買ってもらうし。

が、なによりゴージャスだったのは、京マチ子のグラマラスな肢体だったでありましょう。
和装が多い印象の京マチ子だが、腰の位置が高くて手足がすらっと長い。きれいだ。(さすが大阪松竹歌劇団(OSK)出身)
京マチ子=ナオミ は、エロスの極みだっただろう。

TOP画像にある通り、この作品、森雅之サマと京マチ子のスチールばかりあるけど、京マチ子の相手役は宇野重吉で、森雅之サマは単なる浮気相手=脇キャラだった。
でもほら、やっぱり絵になるから。この2ショットが使われちゃうってことね。

劇中、「熊谷さんの ”お別荘”」 というセリフが気になった。
「別荘」に「お」を付けるのってありなのか・・・。

尚この作品、たびたび映画化されている。
1960年版、同じ木村恵吾監督作品。
譲治:船越英二、ナオミ:叶順子、熊谷:田宮二郎
ふーむ、熊谷という役は、森雅之サマといい、色気のあるジツリキ派がやるって決まってるのか。



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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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