チョンノの奇跡

「チョンノの奇跡」
(2010/韓国/Miracle on Jongno Street)


jongno01.jpg

ソウルに住む四人のゲイをカメラが追う、韓国初のゲイドキュメンタリ長編作品。

【第3回 アジアン・クイア映画祭(2011)上映作品】

<後悔なんてしない> の役者の体当たり演技や、ゲイのカップルを軽々と描いた <ただの友達?> (昨年の TokyoLGFF短編) を見て、韓国のゲイを取り巻く実情はいかがなものなのか?と常々思っていた。

その答えの一つがこのドキュメンタリにあった。

チョンノ=鍾路 は、ソウルの繁華街であり、ゲイスポットである。
ゲイの憩いの場、出会いの場であり、セクシャルマイノリティの人権活動の拠点でもある。

カメラは四人のゲイを追う。
ソ・ジュンムンは、ゲイをモチーフにした作品を撮る映画監督。
チャン・ビョングオンは、セクシャルマイノリテイに対する差別や人権の為に戦う活動家。
チェ・ヨンスは田舎から出て来て孤独だったが、今は歌う集団「Gヴォイス」に入り生きる喜びを見出している。
ジョン・ヨルは、HIV+のパートナーと暮らすリーマン。ゲイの人権の為の活動にも参加している。

印象に残ったのは、映画監督ジュンムンのエピソード。
映画を撮っていてもどこか後ろ向きのジュンムン。
それは軍隊時代のトラウマのせいだという。
志願して入隊したものの、入隊検査で 「同性との経験の有無」 を聞かれた。
軽い感じで聞いてきたので、「あります」と正直に答えた。
即、精神病棟へ一年間強制入院。「更生」 の名目で。

ショックを受けました・・・。

さらにジュンムンのエピソード。
映画の撮影を始める際、声をかけたスタッフに台本を渡し、監督はゲイだとあらかじめ言っておいた。
四人が即断って来た。
撮影現場でも誰もジュンムンを理解してくれない。孤独な戦い。

が、エピソードの最後の方には、なにかふっ切れたものがあって前向きになっていた。
ジュンムンは、「カミングアウトは終わりのない宿題」 と言う。
「一度すればそれで終わりと思っていた。だけど新しい出会いのたび新たな宿題が出される」

ところでジュンムンが最初に撮った作品というのが、かつて恋人同士だった二人がじーさんになって再会しモーテルへ・・・みたいな話だった。
かなりコアな話だべ。
と思っていたら、この作品: <蛍の光> は前回のアジアン・クイア映画祭で上映されていたんですね。
「新鋭ゲイ作家プログラム」  短編集内。26分の短編か。短編ならありか。
見たかった。
 
ふっ切れた後完成した新作は、もっと若い、青年二人のポジティヴそうな話で安心しました(笑) 
これも、見てみたい。

===

ヨンスは自分の性指向を自覚してからずっと孤独を感じていた。
田舎からソウルに出て来てもずっと孤独だったが、チョンノに行き、Gヴォイスの仲間と知り合い、今が人生の黄金期という。
ぽっちゃり系でいじられ役のヨンス。とても楽しそう。

Gヴォイスはゲイネタも取り入れたちょっとコミカルなパフォーマンス集団。
公演を見ればメンバーは全員ゲイだとわかる。
ヨンスは公演に昔の職場の同僚(♀)を招待する。 (→けっこ美人) カミングアウトの機会。

公演終了後、その元同僚女性にインタビュー。

――今まで気がつかなかったですか?
――全然知りませんでした。
結婚しないのは、顔が悪いせいだと思ってましたから。

の答えに爆笑!!! いい同僚!

高校生の時好きだった同級生も招待する。
高校時代の初めてのカミングアウトは苦い思い出だが、今はポジティヴに向き合える。
本当に楽しそうなヨンスだったが、この後思わぬ展開が・・・。

===

ジョン・ヨルは、今のパートナーと知り合った時から相手がHIV+だと知っていた。

――なぜ知っていながら・・・?
――だってすごくタイプだったから


ぐっときちゃう。



思っていた以上に硬派なドキュメンタリだった。
TOP画像の面々は、別人のようにおめかしをしている。
これを見ると、なにか都会的でスタイリッシュな作品と思うのでは?
実際はそれと対極の、等身大のどこにでもいる男たち。
監督自身もこの作品を撮ることでカミングアウトしたという。

映画には、堂々と顔出しした人たちやモザイクがかかっている人たちが映っている。
その為にDVD化はされないだろうという話もある。
貴重な機会でありました。

[追記 : 2014/07/04]

劇中に出て来た、ソ・ジュンムン監督の作品は、2013年のアジアンクイア映画祭で上映されました。
興味のある方は、 「AGFFセレクション - ソ・ジュンムン プログラム -」 へ どうぞ。


AQFFセレクション ~キム=ジョ・グァンスプログラムPageTop無声風鈴

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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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