「スリ」(文雀)
(2008/香港/SPARROW/文雀)香港ノワールの鬼才、ジョニー・トー監督によるクライムサスペンス。4人組のスリ一味と謎の美女が巻き起こす騒動を描く。香港でスリを働く4人組が、ある日別々の場所で何者かに追われている様子の謎の美女・チュンレイに出くわし興味を惹かれるが…。 第9回東京フィルメックス 特別招待作品。
2008年ベルリン国際映画祭コンペティション出品作品。
オープニングからスタイリッシュな音楽が流れ (おしゃれなカフェに流れていそうな)、
任達華 (サイモン・ヤム) のアパートに文鳥が飛び込んでくる。
流麗なカメラ。
え、ちょっと、どうしちゃったの、杜峰(ジョニー・トー)!?
ケイ(任達華/サイモン・ヤム) らスリ四人組は、謎の美女チュンレイ(林熙蕾/ケリー・リン) とそれぞれ関わり知り合う。
チュンレイは、実力者のボスの囲われ者で、自由になりたいと言う。
チュンレイの為に四人は動く。
かつて <美少年の恋> で楊凡が、その猥雑な部分を封印、スタイリッシュなカメラで香港の街を描いたが、それに続くオシャレさ。
サイモン・ヤムヤムは白麻のスーツにライカを下げ、自転車に乗り、ケリー・リンは'50年代風のシンプルで正統派のモードスタイル。
なので、ロケはとーぜん香港島限定。<美少年の恋> のロケーションと被る雰囲気。(あー、行きたい)

'50年代のフランス映画のような仕上がり。
杜峰(ジョニー・トー)作品、これを最初に観た人は、ジョニー・トーを完全に誤解しちゃう。
とはいえ終盤には、ジョニー・トー定番の ”夜の銃撃戦” ならぬ、”夜のスリ激闘シーン” がある。
これぞ、香港ノワール!

最後にちょっとしたオチがあり、観る者をニヤッとさせる。
女って、女って・・・。
そして、男ってヤツは・・・。
ケリー・リン、ジョニー・トーお気に入りの女優。
最近では、
<MAD探偵> で主演のラウ・チンワンの元妻役だった。
やせぎすで色気に欠ける・・・ジョニー・トーの女の好みってわかんない・・・って思っていたけど、今回の役どころはなかなか魅力的でした。
品のあるエレガントなドレスも似合っていた。
なにより ”大人の女” の風情があるところがいいやね。

林家棟(ラム・カートン)、林雪(ラム・シュ)など、いつものジョニー・トー組も出てまっせ。
オレってこんなことも出来るんだぜぃ by ジョニー・トー ってとこか?
男くさいジョニー・トーファンには、不満の残る一作かも知れない。
原題: 「文雀」 (=文鳥) とは、広東語では 「スリ」 の隠語とのこと。
画像検索していたら、やたらと <パイレーツオブカリビアン> の ジョニー・デップが出て来た。
なぜ? なぜ? と思ったら、この英語タイトル=「SPARROW」 だったんすね。
(ジャック・)スパロウ つながりなのだった。