初戀 Hatsu-Koi

「初戀 Hatsu-Koi」
(2007/FIRST LOVE)


firstlove01.jpg


同性のクラスメートに密かに恋心を抱いている男子高校生を中心に若者たちのゲイ・アイデンティティーの確立を描く物語。

なかなか観る機会のないDVDを観ることが出来ました。

ゲイの高校生の物語だけど、ジェンダー論的視点から見ると興味深い作品です。


これ、2009年 「アジアン・クイア映画祭」 福岡プログラムでの上映作品だったのね。
ということで、「アジアン・クイア映画祭」のカテゴリーに入れました。

【第2回 アジアン・クイア映画祭(2009)上映作品】

ぼくはこっそり なみだをながす こいをしたままで


唯史は高校三年生、親友の公太に恋心を抱いているが、想いは胸に秘めたまま友だちとして接していた。
ところがクラスメートから「おかま」といじめを受け、公太にも避けられ・・・。



放課後の学校での ”からみシーン” から始まる。
あらあら、高校生二人はラブラブなのね、と思っていると、それは唯史の ”妄想” なのだった。
誰にも言えない恋心を若者は妄想で昇華させる。
(この妄想がけっこカゲキ☆)

周りの心ないからかい、いじめ (どうしてバレちゃったのかな?) なにより公太に軽蔑されるのが怖い。
ああ、十代っていろんなことがめんどくさくて青い年頃だったと遠い目・・・。


と同時にあるゲイカップルが並行して描かれる。
宏毅は美容師、慎二は古書店主、二人は一緒に住んでいる。微笑ましいカップル。
(慎二が誠実でやさしそう、ステキ☆)
二人の家に始終入り浸っている友人圭吾はなかなか ”本当のラブ” をみつけることができない。
不毛なラブを繰り返している。

落ち込んだ唯史は学校をさぼって街に出る。
電車の中で男の二人連れを見かける。
なんとなく気になり、彼らの後を追って電車を降りる。
仲良さげな二人は人気のない通りでキス。
驚く唯史!!

そう、この二人が宏毅と慎二。そか、ここでつながるわけね。
慎二の経営する古書店の前で別れた二人、唯史はさらに宏毅の後を追う。
途中唯史に気づいた宏毅は彼を問い詰めようとする。
逃げ出す唯史、追う宏毅、その時、宏毅は車に轢かれてしまう――

ドラマとして非常におもしろいんだけど、ジェンダー論的要素を見てみましょう。

まず己の性的指向を自覚した唯史。
それに対して心ないいじめ、親友の反応・・・。

そして、宏毅たちと圭吾の間で話される 「同性婚」 について。
そのメリット・デメリット ・・・経済的&法的問題がからむ。
配偶者に対する税の免除・控除、生命保険、遺産、財産分与
病院での面会権、お葬式にも出られないかも (→遺族に拒否されたら


宏毅たちの家で手巻きずしを食べながらおしゃべりしたこれらのことが翌日現実的な問題になる。

前日新しい店の面接を受ける為履歴書を書いていた宏毅、
「緊急連絡先って慎二の携帯にしていい?」
「じゃなくて、宏毅の実家だろ」
というやりとりがある。
  
事故後、宏毅のバッグから履歴書がみつかり実家の母に連絡が行く。
同居している慎二には当然連絡は来ない。

事故に責任を感じた唯史は、朝の古書店に戻り慎二に知らせる。
あわてて病院に駆け付けた慎二は宏毅の母と対面。
「友人」 と自己紹介した慎二は、「大事なくご心配なく」 と言われ、会えずに帰る。

「カミングアウト」という問題。
親にカミングアウトしていなければ、慎二たちのように病院が ”初対面” の事態も多い。

その後病室で息子にカミングアウトされた母はショックを受けて家に帰ってしまう。
退院したものの母の反応に傷つく宏毅、慰める慎二。
そこへ母から荷物が届く。中に入っていたのは・・・。
(→ ここ、泣けてしまった・・・)

一方、事故をきっかけに宏毅たちと仲良くなった唯史は、ゲイであることを自分自身受け止められるようになるのだった。


と、ジェンダー論の授業のような要素満載で、とってもおもしろかった。
最後の 「結婚式」 の部分はいるのかな?ってかんじだけど。
前半で 「同性婚」について取り上げてしまったので、その帰結としてこのシーンが必要だったのかな。

===
「結婚」という制度は、している人もしていない人も、したいなと思っている人も興味がない人も、それについて深く考える機会があまりないように思える。異性愛者にとっては、あたり前のようにあるもの。
「同性婚」 を考える時、あらためてこの制度について考えるいい機会になる。

愛する人との結婚を夢見る圭吾。
結婚についてまだ実感のない宏毅は、結婚しなくても今は一緒にいられるだけでいいという。
慎二は、結婚して家族や周りの人に祝福されたいと思う。
しかしゲイであることで親から勘当されている慎二にはそれは叶わないと言う。

「事故」 の前には漠然と考えられていたことに、彼らは向き合うことになるのだった。


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主要なキャストがプロの役者ではないところにみょーなリアリティがある。
彼らはみなゲイなんだよねえ?
公式サイト に彼らの略歴があります。(左の「配役」 → 「出演者略歴」に進んでね

公太役のコはこの時大学院生だったのね。
へぇ~、どんなお勉強をやっていたのかしら?となんとな~く検索したら、
なんと、本郷にある門が赤い大学だった! どっひゃ~! 

尚、川口隆夫サンがバーのマスター役でカメオ出演。
チロルが一番最初に行った年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭実行委員長でした。
この作品の英語字幕も担当されてます。

圭吾の元カレ役で今泉監督も出演してた。

この映画のスチール写真がどれも素敵だ。
撮影を担当した田口弘樹、結婚式のシーンでカメラマン役をやっていたのが彼だったのね。

関連記事 :

[家族コンプリート] → 同じ今泉監督作品。 [初戀]についての監督コメント有り



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サッカーも好き☆
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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