ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法

「ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法」 ジョン・ウォーターズ
(1995/SHOCK VALUE ATasteful Book about Bad Taste)



ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法ジョン・ウォーターズの悪趣味映画作法
(2004/05)
ジョン ウォーターズ

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先に見たハーシェル・ゴードン・ルイスのドキュメンタリ <ゴッドファーザー・オブ・ゴア> の中で、ジョン・ウォーターズ(以下JW)が、自分がいかにハーシェルをリスペクトしているかを書いた自著をさりげなくチラ見せしていた。

前から気になっていたので早速読んでミタ。

こりゃ、おもしろい!
読みだしたらやめられなかった。

――ぼくにとっては、悪趣味がエンターティメントだ。
だけど忘れちゃならない。
いい悪趣味と悪い悪趣味は別物なのだ。
悪趣味を理解できるのは、いい趣味の持ち主だけだ。


という名言から始まる。
なるほど~ いい悪趣味と悪い悪趣味があるなんて考えたことなかったけど、たしかに。
目からウロコ。

以降JWの半生や監督作品のエピソードなど13章から成る。

shock04.jpg


ジョン少年はどんなこどもだったのか?

2・【暴力が好きなわけ】
幼年期のエピソードがおもしろい。
自動車事故のオブセッション(=妄執)に取りつかれる。
ミニカーをぶつけ合い、しまいにはハンマーでぶん殴りながら、
「ああ、なんてひどい事故なんだ」
根負けした母はジョン少年を本物の廃車置き場に連れて行ってくれた。
事故による激しい損傷の車を見るとコーフンした。

shock03.jpg   ジョン少年


その他、映画を撮り出した経緯、JW処女作 <黒の革ジャケットの女>(’64) 誕生秘話から、いわゆるジョン・ウォーターズ組の面々(=ドリームランダーズ) について。
ディヴァインのこと(8・【世界一の美女】)、イディス・マッセイのこと (10・【イディス・マッセイ、エッグレディ】)
JWファン必読の書。

shock01.jpg
イディス・マッセイとディヴァイン



さて、問題の項は11章にあった。
11・【二大巨匠 ラス・メイヤー/ハーシェル・ゴードン・ルイス】

――ぼくはルイス氏の怪物的三部作 <血の祝祭日> 
<2000人の狂人> <カラー・ミー・ブラッド・レッド> 
を近所のドライブインシアターで発見した。
ティーンエイジのカップルが車から走り出てゲロを吐くのを見たとき、
ぼくはこの監督なら死ぬまでついて行けると思った。


ギャハハハ!! こりゃサイコーの賛辞!

<ゴッドファーザー~> に貼った2ショット画像はこの本に載っていたものだった。
1981年、JWがハーシェルに手紙を出してインタビューが実現。
(好きなものにはとことん突っ走るJW、あっぱれ)
インタビュー場所は、ドキュメンタリにも出て来たハーシェルの高級アパート。
フロリダのフォートローダーデールにあった。
(この街は別名アメリカのペニスと呼ばれている、って話デキすぎ)

その時の印象をJWはこう語っている。

――ハーシェル・ゴードン・ルイスは安っぽさとは無縁だ。
ハンサムで洗練され、知的で、自分自身をも笑い飛ばせる
素晴らしいユーモアセンスの持ち主だ。


すでにハーシェルはJWの <ピンクフラミンゴ> をシカゴの自分の劇場で見ていた。
(ハーシェルは自分の劇場も経営していたのだ)

――苦情が出てるって聞いたんで、自分で確かめようと思ったんだよ。
見たあとで、こいつには一本取られたと思ったね。

JWにはこれまたサイコーの賛辞だね。

JWの、なぜ 「ゴアフィルム」 を撮ることにしたのか?という問いに、ハーシェルはドキュメンタリにはなかったエピソードを語った。

――血糊に踏み込んだのは全くの偶然からだ。
ちょうど <生きているビーナス> という映画を作っていて、フロリダの化粧品店でいい血糊を何ガロンも買ったんだが、その映画ではほんのふたったらししか使わなかった。
で、残りをどうしようかって話し合った結果生まれたのが <血の祝祭日> だったんだ。

つまり、何ガロンもの血糊が余ってなかったら、ゴアフィルムは生まれなかったってことだ。
「モッタイナイ」 精神! 優れたビジネスマンだ、ハーシェル!


===
ところで
ここ最近万年最下位のボルチモア・オリオールズが今年は予想ガ~イの快進撃。プレイオフに進出した。
(おかげでボストンが最下位だったがな)
地元ボルチモア愛  のJWはこれをどう思っているのだろうか? と気になっていた。
(ゲイの人は大体野球に興味がないという説もあり)

その答えがあった。

(自動車事故への妄執に続いて)
――もうひとつ、両親がどうしても理解できなかったのがスポーツへの嫌悪である。
野球! 大の大人がはっきりした理由もなくボールを追い回すなんてものに興味がわく訳がない。
ボルチモア・メモリアル・スタジアムだけは爆破してやりたかった!


===
なお、柳下毅一郎の翻訳がエッジィで良かったでした。
JWの文章の翻訳作業なんてどれほどハードだったか。
おつかれさまでした。

shock02.jpg

↑ ページのへりのところ (正式にはなんて言うかわからない)
がピンク色でとってもキュート☆なのだ


===
JW作品の撮影エピソードがてんこ盛りだったので、それぞれの作品記事においおい追記で載せていきたいな、と思ってます。
→ <フィーメール・トラブル> のディヴァインの出産シーンでは、本物の赤んぼを使いたかった。出演者のスーザン・ロウが妊娠中だったので、彼女の出産を待って退院した日に撮影したとか。
その時ちょうどロンドンから義母が孫の顔を見に来ていて、いきなり撮影が始まって、義母は石のように固まってたとか(笑)



SAFE/セイフPageTopゴッドファーザー・オブ・ゴア

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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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