ケーリー・グラント 自分を演出した名優

「ケーリー・グラント 自分を演出した名優」
(2004/Cary Grant: A Class Apart)


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二枚目スターとして愛されたケーリー・グラント。
彼と交流のあった人々へのインタビューを通し、その素顔に迫る。


「映画史上もっとも魅力的な映画スターは誰か?」と問うた時、文句なく

ケーリー・グラント!

の名が挙がるのではないだろうか。



ハンサム、知的、洗練された・・・彼を形容する言葉は数多くある。
私にとっては、エレガント&ソフィスティケイト これに尽きる。


この人の半生には興味があったので、元妻が書いた伝記を読もうと思ったことがある。 が、あまりの分厚さに退場・・・。
翻訳モノの伝記って、どうしてみなあんなに厚いのでしょう??

そんな私に、この検証ドキュメンタリ映画は願ったり、叶ったり!


関係者や友人の顔ぶれも豪華で、シドニー・シェルダン、ピーター・ボグダノヴィッチ・・・友人代表に、ラルフ・ローレン!

私が見たのはNHK-BS2 での放送版で、残念ながら完全吹き替えでしたが、オリジナルのナレーションが、ヘレン・ミレン(”クイーン”様ですね)に、
ジェレミー・ノーザム!(好きなのよ ☆)  素晴らしい!


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ケーリーの俳優としてのキャリアは十代の頃が原点といえる。
貧しい家のケーリーは、家出して巡業中の一座に入る。
そこで、軽業や間の取り方、観客を惹きつける術を習得したわけだ。


ケーリーのイメージは、タキシードを着て、マティーニなんかを飲んでいる姿だが、その次の瞬間、バク宙しちゃうとこがスゴイ!
ソフィスティケイテッド・コメデイの王様・ケーリーだが、スラップスティック・コメディのドタバタな動きも絶妙で、彼の原点を知ると大いに納得出来る。


そして又、その出自=本名 アーチボルド・アレクサンダー・リーチを消して、”ケーリー・グラントという男 ”を生涯演じ切った というのが、この作品のテーマでもある。
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さて、我的野次馬興味――「ケーリー・グラント=ゲイ」 説。
この辺りを、どう扱っているのかと。 全くスルーされる場合もありだが、今回健闘してました。


まず、冒頭、最後の妻 バーバラ・グラントが言う。
――人はみな、どうにかケーリーとの接点を持ちたがりました。
   ユダヤ人は、ケーリーにユダヤ人であることを求め、
  ゲイの人たちは、ケーリーにゲイであることを求めました。

そして元妻たちがそれぞれに、私たちはラブラブだったわよ、と証言。
しかしその一方、ランドルフ・スコットとの同居生活も、当時のプライベートフィルム付きで紹介している。
晩年の、チェビー・チェイスの「グラントはゲイ」発言も取り上げている。
既に引退していたグラントは、これを提訴(後に和解)。


ということで、「その問題」 を避けて通らなかった、という点で、満足な作品だった(笑)
結局、ここで 「結論」 は出していない。
この作品のいいところは、ただ 「あったことをそのまま」 伝えていることである。
(それはとても重要なことだと思う)

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ランドルフ・スコットとテンプルちゃん 発見! 
やっぱりテンプルちゃんは「天使」ね☆


この件に関しては、海野弘先生の名著 「ホモセクシュアルの世界史」 (第十二章 アメリカのクローゼット・システム 英国紳士風二枚目 ケーリー・グラント)に詳しい。


見終わって、早速ページを繰ってみたら、いきなり


――ケーリー・グラントがホモセクシュアルであったという話は、チャールズ・ハイアム、ロイ・モーズリーの <ケーリー・グラント-ロンリー・ハート> (1989) で解禁になった。


と断言してます! さすが、海野先生!

これを読むと、ええ~っ!? うそ~?! の連発です。

ランドルフ・スコットは、ハワード・ヒューズ (<アヴィエイター>で レオナルド・デカプリオ が演じた人ですね。全然合ってませんでした。実物の方が背が高くて何倍もハンサムだもん) がゴルフ場で見つけてスカウトした美青年でヒューズのお気に入りだった。

ヒューズがゲイだというのもオドロキ! だったし、後にケーリーともつき合ってるって一体・・・。


スコットとグラントは一緒に暮らし、一緒にパーティーに現れた。 スタジオはあわてて、二人の女の子を用意し、彼らが無邪気な親友であり、それぞれガールフレンドもいるのだ、といった宣伝をして、ホモセクシュアルの噂を消すのにやっきとなった。
グラントは女装趣味があるらしく、仲間内では「シスター」と呼ばれていたという。

(広東語だったら「小姐」、日本なら「ねーさん」ってとこね)

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ランディ&ケーリー なにやら ”かぐわしいかほり”を感じる・・・。


しかし、一方、グラントは生涯次々と若い女を追い続けた。


――ホモであることを隠すために女性を追いかけたのだろうか。
   それとも、ホモであることを否定するためにであったろうか。

と、海野先生は言っている。

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 こりゃ、男夫婦そのものだな! ワンコまでいるよ!
ケネス・アンガー「ハリウッド・バビロン?」(myバイブル)より
(すみません。本から撮ったのでボケてます)


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ところで、エレガント&ソフィスティケイトな作品 といえば、我が愛するビリー・ワイルダーだが(ゴーインに持ってきますね!)、彼はとーぜん、俳優ケーリー・グラントを買っていた。
彼に関する本を読むと、何度もケーリーのことが出て来る。(彼の理想を体現できる俳優ですからね)
脚本の段階で、これはケーリー・グラントに!と何度も願うが、いつも諸事情で果たせない。 結局、ワイルダー作品にケーリーが出演することはなかった。


===

調べていたら、「ケーリー・グラント」 という薔薇の品種がありました。

――鮮やかなオレンジ色の花が人目を惹き、香りはスパイシー・ティー・ローズ 
だそうな。
たしかに、ケーリーのイメージそのままね。
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あ、もひとつ、調べていたら、映画 <ホリデイ> とケーリーのつながりを知った。
ナンシー・メイヤーズ監督は事前に、ジュード・ロウにケーリーの古い作品を見て研究するように言ったという。
な~るほど、myダメツボのジュード・ロウがこの作品では魅力的だったわけがよくわかった!
(これは、Keiさんのブログで教えてもらいました(TB済みですが)すごく勉強になるすばらしいブログです!)


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ケーリー出演作の内、日本で有名なのはこのあたりかしら?



タッチ・オブ・ピンク~ボーイ・ミーツ・ラブPageTop映画 「凶気の桜」

Comment

ビーチで大邸宅でスコットとグラント

チロルさん、こんにちは。久しぶりにコメントします。

現在では、ランドルフ・スコットとケーリー・グラントでは格が違うという感じがしますが、というのもケーリーはヒッチコックに出ている、ハワード・ホークスには出ている(ハワード・ホークスの「赤ちゃん教育」でキャサリン・ヘップバーンと共演していますが、VHSで観ただけなんですが、これがケッサクなんです。富豪のお嬢さん(C.ヘップバーン)が飼っている赤ちゃんという名前の豹をめぐる騒動に巻き込まれる堅物の古生物学者を演じているんですが、彼が彼女にからめ捕られるという一種のラブコメですね。一人で観ていても笑いがこみあげてくる映画です)けれども、ランドルフ・スコットは拳銃使い、ガンマンの役で有名だったので西部劇の衰退とともにネームバリューも低下した?(本当は西部劇の衰退なんてことは口にしたくないのですが。警察物でもギャングものでも、ストーリーの裏側に西部劇が張り付いているように見えるものが時々ありますから)。

ランドルフ・スコットとケーリー・グラントはサンタモニカのビーチハウスで数年間同居し、ロサンゼルスのロスフェリーズ地区の大邸宅(英文ではmansionと書いてあった。日本で言う少し高級感のある鉄骨鉄筋アパートではない)で数年同居したのだそうです。情報源はこちらです。→「Grant and Scott, a love story.」(https://www.youtube.com/watch?v=Xxh_vQlrqe4

このスライドショーではスコットもグラントにちゃんと愛情を持っていたような気がします。今よりずっと難しい1930年代ですからね。勇気ある二人です。

■フロイントさん

コメントありがとうございます。
おもしろい動画でした。
こんなにたくさんのツーショットが残っていたなんて。
よくこんな写真を撮らせたもんだと思ったら、
fan magazine 用だったんですね。それならありかも。

私は、知り合った当時ランドルフ・スコットの方が年齢もキャリアもずっと上だと思ってました。
調べたら、年は6歳しか違わないし(スコットが上)、二人とも同じくらいのキャリアスタートでした。
ちょうど知り合った時が二人ともキャリアのはじめだったので、同期、同士のようなフラットな関係だったのかなあ。
そんなとこが居心地よかったのかもしれません。

> 今よりずっと難しい1930年代ですからね。勇気ある二人です。

そうですよね。一方ではネットで画像流出なんて心配はない密やかな時代でもあったと思います。

「赤ちゃん教育」おもしろい作品ですよね。
グラントは巨匠たちに愛された俳優でした。

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ナンシー☆チロ

Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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