さよなら渓谷

「さよなら渓谷」 吉田修一


さよなら渓谷 (新潮文庫)さよなら渓谷 (新潮文庫)
(2010/11)
吉田 修一

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この前に読んだ連作短編集2作と打って変わり、重いテーマの長編。



桂川渓谷で起こった幼児殺害事件。
母親が逮捕され取り調べが進む内、隣家に妻と住む尾崎俊介と関係があったと言い始める。
尾崎にはある過去があった・・・


始まってすぐ親による幼児殺しがあり、なんだかヘビーだなやと、どよ~~んとした気分でいると、話は隣家にシフトして行く。
16年前大学の名門野球部で起きた女子高生集団暴行事件。
また別のダークでヘビーな流れになって行く。
加害者の男と被害者の女性はその後どんな人生を歩んだのか。

あれ、どこかで聞いたような事件だなと思う。
考えたら、大学の体育会が起こした暴行事件というのは残念なことに数多くあるということに気づいた。

野崎はかつて名門野球部で将来を嘱望された選手だった。
それまで「野球しかない人生」で、「野球」を奪われた男。
自分でも自業自得と思いながら、

――嫌がっているようには見えなかった。
いつも最後に残るのは、この言葉だけだった。

尾崎のこの言葉が印象に残る。
最近元金メダリストが起こした事件でも似たような言葉を聞いた。

この”共通項”は何なのか?
男特有の傲慢なメンタルから来るものか。不快だ。

レイプという犯罪の傷の深さ、残酷さ。
加害者も被害者も、そして周囲の人をも巻き込んでいく。

その深淵にいる男と女の愛は? 
二人にとって幸せとは?

なんだか不思議な読後感だった。
やり切れない思いと同時に、まだほの明るい光が残っているように思えてならない。


「許すことで自分が救われることもあるんだよ」

かつて天才マムガ家語シスコは、作品の中で裕倫にそう言わせている。
好きな言葉だ。(元はカツローが言った言葉で、聖書の言葉である)
いつか二人が救われる日が来ることを願わずにいられない。


吉田修一作品はどれも映画的で、読みながら映像が浮かんでくるのだが、この作品は特に顕著だった。
緑濃い渓谷、橋からの眺め、かげろうのように立ち上る熱気・・・。
文庫に収録されている映画監督柳町光男の解説、吉田修一作品の映画的考察も興味深い。

===
作品の中で、尾崎と被害者が再会するのは、「ピアノ・レッスン」上映中の池袋の映画館だった。


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ホリー・ハンター、ハーヴェイ・カイテル 他

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フローズン・リバーPageTop女たちは二度遊ぶ

Comment

思ったより面白かったよ

小説は読んでません。
監督:大森立嗣 ゲルマニウムの夜 、ケンタとジュンとカヨち
ャンの国、まほろ駅前シリーズ、ぼっちゃん
以外は面白い、セトウツミ池松壮亮と菅田将暉
出演まだ見てないクソ
出演:尾崎 大西信満
かなこ 真木よう子
愛と憎悪と懺悔の異形のラブストーリー?
とは、一言で言い表わされる代物ではありません。
まず、母親による幼児殺人事件は、何かおかしな畠山鈴香を思いおこさせるシーンでした。そして、女子学生集団暴行事件は今話題の慶◯大事件を彷彿とさせます。吉田修一の作品は、現実に起こっている悲惨な事件を思い起こさせます。

尾崎とかなこは、暴行事件の被害者と加害者として必要以上にひっそりと暮らしているのです。
真木よう子は、愛憎とか執着とか言葉では表現出来ない台詞にならない演技を見せつけてくれました。
大西信満は、懺悔を含めた、全てのかなこの思いに応えるべく寄り添う姿を見せます。(キャタピラーの存在感との違い、存在感と言うかありゃ何なんだよ)

「私が死んで貴方が幸せになるなら、私は死なない。貴方が死んで貴方の苦しみが無くなるのなら、私は貴方を死なせない。」
こんなにも重い言葉を突きつけられても、時を経て少しずつ2人の間にある頑なな物も溶けて行くのですよ。
「二人は、不幸になる為に一緒に暮らしている。」
かなこは言う。
そして尾崎の元を去って行く。
悲しい…
しかし私は、救われたと思いたい。(逆に幸せであったから、愛があったからでは無いかと)
必ずかなこを見つけ出す、と尾崎は言う。
現実、それはありえない!」
と、真木よう子は、言ったという。

■けんちゃん

小説は読んだけど、テーマが重いので映画の方は先延ばしにしてました。
けんちゃんに触発されて、今日見たので後日UPしますね。

まほろ駅前シリーズは、映画より大根仁監督のTVシリーズの方が秀作でし。
同じキャストなのに、監督でこんなに違うのか!?つうくらいダンチ!!
大スキ!!!

あと、小説「まほろ駅前狂騒曲」超楽しいよ。オススメです!(映画はつまんなかったけど)
文庫化してないので、図書館で探してネ!
いつもコメントありがとねん

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ナンシー☆チロ

Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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