汚れなき祈り

「汚れなき祈り」
(2012/ ルーマニア・フランス・ベルギー/DUPA DEALURI/BEYOND THE HILLS)


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陰気そうなルーマニア映画・・・本来ならスルーのところ、
<4ヶ月、3週と2日> のクリスティアン・ムンジウ監督作品と知り行ってミタ。

@ヒューマントラストシネマ有楽町

HTC有楽町では、ロザリオ割引キャンペーン実施中。
ロザリオ持参で1000円で観ちゃったわ。
ロザリオは装飾的なものでもなんでもいいんだって。
着けて行ったのはこれです。↓
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ルーマニアの孤児院で育った後、国を出たアリーナは、孤児院で一緒に育ったヴォイキツァに会うために、ルーマニアを訪れる。世界でただ1人愛するヴォイキツァと一緒にいることを願っていたアリーナだったが、修道院の暮らしで神の愛に目覚めたヴォイキツァは、今の生活に満足していた。彼女を取り戻そうとするアリーナだったが、次第に心を病んでゆく。
修道院ではアリーナの病は「悪魔つき」のせいと考え、彼女に悪魔祓いの儀式を行おうとする・・・。


2005年にルーマニアで実際にあった事件を基にした。

当初考えていたのとは違ったストーリーだった。
宗教にはまった友だちを連れ戻そうとする女性を排除する為、関係者が悪魔つきという名目で殺してしまうという恐ろしい話だと思っていた。
が、実際見てみるとちと違う。
この映画に”悪い人”は出て来ないのだ。そこがミソであり、ある意味怖ろしいともいえる。

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映画は最初に丘の上の修道院の日常を詳らかに映す。
電気も水道もない質素な生活は、時代設定がいつだか観客を混乱させる。
しかし、ふもとの街には自動車が走り、ビルが建ち並ぶ。紛れもなく現代なのだ。

アリーナはヴォイキツアに、二人でドイツで暮らそうと言う。
しかし、ヴォイキツアは修道院の暮らしに充足していて、それは出来ないと言う。
アリーナはヴォイキツアを神様に取られたかのように思い、修道院に対して好戦的な態度を取る。
孤児院育ちの二人の絆は深いものがあろう。
が、もはや成人した大人なのだから、それぞれの生きる道があると納得しなければだめだよね。
でもアリーナはそれが出来なかった。
もともとの彼女の性質のせいなのか、既に正常な判断が出来なくなっていたのか。

発作を起こして暴れ、病院に担ぎ込まれる。
病院は薬を処方してアリーナを退院させてしまう。
アリーナはヴォイキツアといる為に入信すると言い、神父は宗教心のない者はここに置けないと言う(そら、そうだ)
ここでまた悶着が起きる。
修道女たちは平静な生活を乱され混乱する。暴れるアリーナに身の危険も感じ一触即発の一種ヒステリー状態になって行く。

その辺りの”異常な空気”を醸し出す画面がうまいんだわ。
冷静な観客は、アリーナは明らかに精神の病であるとわかっている。
しかし神父たちは、彼女を救うのは祈りと悪魔祓いしかないと思っている。
そして悲劇に向かう。

アリーナがこと切れて、救命士が駆けつける。警察がやって来る。
「一体何があったんですか?人が死んだんですよ」
世俗から隔絶された閉じた世界が、いきなり現実世界に引き戻される。
そうだ、これは現代のことなのだ。

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こういった悲劇は、これに限らず世界中どこにでも起きている。
その宗教の狭い世界の尺度ですべてを量ろうとする。彼らの神は絶対であると。

主人公の二人の女性の関係:能動的な一人と受動的な一人 は、ムンジウ監督の前作 <4ヶ月、3週と2日> を想起させる。
自分は何も動かない友人の為に、主人公の女が駆けずり回る話だった。

今回のヴォイキツアも自分は動かない。
厄介ごとの元は自分の友人なのに、アリーナを追い出すわけでなく、自分が出て行くわけでもない。のらりくらりとしている。

「常に受け身でいながら、結局周りを自分の思い通りに動かしてしまうヴォイキツアはゴージャス」

ヴォイキツアを演じた コスミナ・ストラタンのインタビューコメントにうなずいてしまった。

ムンジウ監督と二人の主演女優は、第65回カンヌ国際映画祭 脚本賞&主演女優賞 W受賞した。

↓ アリーナ役クリスティナ・フルトゥルはちょっと片桐はいりっぽかった。
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見ても全然楽しくないけど、たまにはこういうのも見るべきだな、考えさせられる一作。

この作品の紹介記事で、二人の関係を”レズビアン”としていたところがあった。
それはどうなのか?
もちろんどう受け取ろうと観る側の自由であります。


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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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