ミスター・エンジェル

「ミスター・エンジェル」
(2013/USA/MR.ANGEL/68min.)


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【第22回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2013)上映作品】


今年も東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が始まった。
今年の会場は東京ウイメンズプラザホールといつものスパイラルホール。
2カ所での上映だとより多くの作品を観ることが出来るのよね。
ありがたいこってす。

今年の一発目は、異色のドキュメンタリです。

@東京ウイメンズプラザホール

ここで観るのは、2006年以来かな。


”ヴァギナを持つ男”バック・エンジェル
FtMポルノスターの波乱万丈な人生


ゲイポルノ界に新しいジャンルを築いたバック・エンジェル。
ボデイはムキムキのマッチョなのに、下半身にはペニスではなくヴァギナ。

何でもありのアダルトビデオ界においてさえ、彼の存在は特殊だ。
冒頭、自分のDVDを持って”営業”に奔走するバックを追う。
ニューヨークの大物ギョーカイ人(ってマイケル・ルーカス!)が訊く。

――誰をターゲットにしてるわけ?
――ゲイポルノです


ミソジニーのゲイはヴァギナが嫌いなのではないのけ?
と思うけど、限られたマニアはいるってことなのね。

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そして彼がここに至った半生をふり返る。
こどもの頃から心と体の不一致に悩んでいた。
そんな自分を理解してくれない親との衝突。
アイデンティテイ・クライシス。
家を出た”彼(女)”は、ファッションモデルとして成功する。

えーーーっ、マジですかあ?!っていうくらい、これがめちゃんこ美しい。
中性的美しさとでもいうのだろうか。

しかしモデルとしての成功は、彼のアイデンティティの解決にはならず、収入は薬と酒に消え、自殺未遂を繰り返す。
仕事を失いやがてホームレスに。
そこでバックはどん底からはい上がる為、男として生きることを決意する。

スレンダーなフィーメイルモデルから、マッチョなボデイへと変化して行く。
胸の切除手術は受けたが、下半身はそのままに。

――作りもののペニスだったら、あっても意味がないと思った。
ヴァギナは自分の愛すべき体の一部


今まで見て来たトランスセクシュアルの人たちは、自分のヴァギナに嫌悪感を持ち、ペニス願望を持っていた。
そういうものだと思い込んでいた。
思いは人それぞれ、目からウロコ。

スクリーンに登場したFtMの若者、”男”となった今だが、マッチョな男らしい男に魅かれる、と言っていた。
<ロミオ>(2011年第20回上映作品)も、好きになるのは男だった。
まさに”多様性”ってことね。

===
ある日、バックは腹痛に襲われる。
長年のホルモン療法の為に退化した子宮と卵巣が癒着を起こしていた。
摘出手術を受けるバック。

<ロバート・イーズ>(2002年第11回上映作品)を思い出した。
ロバートもバックと同じFtMトランスで、胸の手術はしたけれど下はそのまま。
卵巣がんで亡くなった。
「最後まで残っていた “女” が命取りになった」
とロバートの言葉。
その時は”たまたま”だと思っていたけろ、ホルモン治療の弊害だったのか。

――「どうしておまえが婦人科に来るんだ?!」
と言われて困ったよ。


とバックは冗談まじりに言っていたが、ロバートは保守的な南部で婦人科の受け入れ拒否で手遅れとなった。

===
バックは、アダルトビデオアウォードの「トランスセクシュアル賞」を受賞する。
メディアに積極的に露出し、講演活動を行う。
自己のアイデンティテイも確立し、理解あるパートナー(女性ですよ!)を得た今は、絶縁状態だった両親とも仲良しだ。
それでも尚、父親は今でも複雑な思い。
一方ママはすべてを受け入れている。女ってそういう生き物だよねって話。

バックの講演を聴く人、サイトにアクセスする人、それぞれに悩みを抱えているだろうが、「ああ、こういう人がいるんだ、自分らしくいていいんだ」
バックは彼らにとってひとつのモデルケースとなるんだろう。
そしてバック自身にとってもこの活動は「糧」となり「癒し」となるに違いない。

この映画祭でしか観られない貴重なドキュメンタリだった。多謝



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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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