アクト・オブ・キリング

【アクト・オブ・キリング】
(2012/イギリス・デンマーク・ノルウェー/THE ACT OF KILLING)


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なんだかとにかくすごい作品らしい。
とりあえず見ておかねーと、と行ってミタ。
監督: ジョシュア・オッペンハイマー

 先週のジャック・スミスに続いての
@シアターイメージフォーラム

本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリ賞ノミネート
全世界60以上の映画賞を受賞した2014年No.1衝撃作


’60年代、インドネシアで秘かに行われた100万人規模の大虐殺。
今も”英雄”として優雅に暮すその実行者たちに一人の映画作家がカメラを向けた

――あなたが行った虐殺を、もう一度演じてみませんか?

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ほんとに衝撃作だった。
何もかもア然・・・。

’60年代半ば成立したスハルト軍事政権により、反体制派の人々が「共産主義者」として殺された。
その実行者は軍ではなく、「プレマン」と呼ばれる民間のやくざ・民兵たちであった。

100万人規模の虐殺があったというのにア然・・・。
また、その実行犯は誰一人罰せられていないというのにア然・・・。

アメリカの映画作家ジョシュア・オッペンハイマーは当初人権団体の依頼で虐殺の被害者を取材していたが、”当局”から被害者への接触を禁止され、やむなく対象を加害者に変更。41番目に会ったアンワルは千人近くを殺したという。
 
かつての実行犯がカメラの前で殺人を再現する、つまり”アクト・オブ・キリング”:劇映画の製作。
カメラはその製作現場を追って行く。
ハリウッド映画のファンだというアンワルじーさんは、自分が考え出した殺人法を自慢げに見せ、嬉々として演じる。

actofk02.jpg  自慢げ・・・


アンワルはハリウッドギャングのようなコスプレでキメ、相棒のヘルマンはなぜか女装というオッペンハイマーの”演出”は明らかにギャグだ。
他にも何度も笑えるシーンが出て来る。
本人たちは大マジメなところがまたおかしいんだよね。この辺の監督のセンスはいいな。

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アンワルは三池崇史カントクに似てるし、相棒ヘルマンはマツコかダイアナさんか。
(マンデラと西田敏行というご意見もあったww)
アンワルじーさんは、シドニー・ポワチエ似と自称(笑)

「ドキュメンタリ」なのに演出??
この作品はもうひとつの問題を提起する。
「ドキュメンタリって何だろう?」

これってブログ記事に上げた時、カテゴリは「ドキュメンタリ」でいいんだよね??
見ながら何度もその疑問が浮かび頭が混乱。

オッペンハイマーは再現劇映画を撮る為アンワルたちに”演技”をさせているわけで、その時点でもはや「ドキュメンタリ」ではないのかも。
しかし、撮影現場の彼らをメイキングの様に撮るならそれは「ドキュメンタリ」?

本来「ドキュメンタリ」には監督がいて映画として撮る以上、監督の意図が必ず存在する。
「ドキュメンタリ」にこういう手法があったのか!?という意味で画期的な作品と言えましょう。

なんにせよ、胸クソ悪い、居心地が悪い映画。
この作品のレイティングは「G」(ってのがあるのをはじめて知った)
「R-12」の下って・・・甘すぎる!
人を人と思わない「プレマン」のヤツらにはヘドが出る。

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↑ 虐殺の再現映画をうれしそうに孫に見せるアンワルじーさん
こんなのを孫にへーきで見せるってとこが理解不能なんだが。

しかし、撮影が進むにつれ彼らに変化が生まれる。
当時の虐殺を自慢していたはずが、今再現されるとそのこどもたちに思いが至る。
被害者のこどもたちはどうなるんだと。こどもたちの未来は?
それは彼らが年を取ったせいかも知れないし、時間が経ち、事を冷静にふり返ることが出来たからかも知れない。

最後にアンワルは血だらけのメイクをして拷問の被害者役を演じる。
最初は余裕ぶっこいて加害者役にアドバイスなんかしてた。
叩かれ、小突かれ、目隠しされて、かつて自分が考案した方法で首を絞められ殺される。
この撮影でアンワルは気分が悪くなってしまう。

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後日アンワルは言う。

――このシーンを演じた時、初めて俺が拷問した奴らの気持ちがわかった。
  尊厳を奪われ、恐怖が襲って来た。わかったんだ、ジョシュ(監督)
――わかっていませんよ。これは映画なんです。
  彼らは自分が殺されるということがわかっていたんですよ。


この後のラストシーンは見る者の心に残るのだった。

本編が終わって最後にまだ驚きがあった。
エンドクレジットに流れるスタッフの名前は、
延々と続く
anonymous anonymous ・・・
こんなエンドクレジットはじめて見た。

匿名で参加した現地のスタッフの勇気を讃えるとともに、50年経った今なお匿名で参加せざるを得ないインドネシアの深い闇を見た。

――ひとり殺せば悪党で、百万人殺せば英雄になる
   数が殺人を神聖化する
     チャールズ・チャプリン 「殺人狂時代」


   
===
この作品の製作総指揮が、ヴェルナー・ヘルツォークとエロール・モリスってのもゴイスだよなあ。
↓ 二人の代表作 上げておきます

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===
この後、2014年にこの作品のアンサーソングのような
「ルック・オブ・サイレンス」
が製作された。

チョコレートドーナツPageTopアリババと四十人の盗賊

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Author:ナンシー☆チロ
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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