フリー・フォール

[フリー・フォール]
(2013/ドイツ/Freier Fall/Free Fall)

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【第23回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2014)上映作品】

キ○チョーの夏、日本の夏、LGFFの夏。
夏といえば・・・
今年もLGFFが始まった。

今年の日程は、
7月12日~18日@ユーロスペース (レイトのみ)
7月18日~21日@スパイラルホール

今年の一発目は、ドイツ版[ブロークバック・マウンテン]といわれるこの作品です。

@ユーロスペース
この日は満席の盛況で、キャンセル待ち、立ち見まで出ました!

警官同士の秘められた関係
愛と欲望の果てに行き着く先は…

警官としてのキャリアは有望、長年の恋人ベッティーナは妊娠中、マルクの人生は順調そのものだった。警察のトレーニング・キャンプでカイに出会うまでは…。ジョギングをしながらカイと友情を育むうちに、自らの抑えきれない欲望に気づくマルク。やがて彼はベッティーナに隠れてカイと密会するようになり、コントロールを失っていく。

し、しょっぱい・・・。
リアリティがあると言えばいいのか。現実ってキビしいわ。

ベッティーナ(j事実上の妻)は妊娠中。労わらなければいけないのに、新しく知ったカイとのラブに夢中になるマルク。
たびたび家を空けるマルクに妻は不信感を抱く。

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いやいや家族サービス

やがて赤んぼが生まれる。幸福の絶頂。
ヘテロ社会において、赤んぼの誕生くらい無双なものはない。
じじばばの歓び、仲間からの祝福。赤んぼはカワイイ。
これらすべてを捨ててゲイとして生きて行く。
誰だってよう決断出来ひんで。
マルクはカイにアパートの鍵を返し、距離を置く。

マルクを愛してしまったカイは、それが堪えられない。
ゲイバーに出入りしていたところを人に見られ、職場でゲイバッシングに遭う。
それを見てマルクは怖ろしくてならない。

ある日ホモフォビアの同僚とカイとのいざこざでマルクがケガをする。
病院の廊下で思わずキスしたところにマルクのママが・・・(ヤバい!)

妻は赤んぼを連れて家を出て行く。マルクは追い詰められる・・・。

あまりにしょっぱい展開の連続に、心がずーんと沈みました。
だけど、いろいろ考えさせられる映画だったわ。

後半、マルクを愛しすぎたカイは
「おまえは自分のことしか考えていない」と詰る。

ほんとにそうなんだよね。妻のこともカイのことも考えていない。
自分のことだけ。
だから見ている側は彼に共感出来ない。それで見ていてつらいのよね。
(かといって妻に共感して同情するというわけでもないので見てて拠り所がないわけよ)
って最初は思ったのよ。
でもちょっと考えてみてちょうだい。

大人になって自分の性的指向に気づいたばかり。
本人だっていっぱいいっぱいのはず。

まして、マルクが住んでいるところは地方都市で、父も義兄も警官。保守的でマッチョな世界。
この土地で、この職場で、ゲイとして生きて行くのはむずかしい。
踏ん切りがつかないのも已む無しとも思う。

この辺のマルクとカイのやり取りはデジャヴ感があり。
あれだ [メーキング・ラブ] に筋立てが似ている。

ゲイのバートは女房持ちのザックにキレる。

――俺と女房の間を行ったり来たり
  そろそろふんぎりをつけたらどうなんだよ


自分の都合のいい時だけカイのアパートにやって来て、あとはほったらかしのマルクとザックはよく似ている。
ザックは踏ん切りをつけたけど、マルクはどうかしら?

「あなたさえいなかったらマルクはこんなことにならなかった」

マルクのママはカイを責める。

本当にそうだろうか?
カイさえ現れなかったら、自分の性指向に気づかないまま?
それとも、「遅かれ早かれ?」
それは誰にもわからない。

ただひとつ確かなのは、カイは傷ついて去ってしまったこと。
その時はじめてマルクは失ったものの大きさに気づくのだった。

ラストシーンは、再びトレーニングキャンプに参加しているマルク。
まだ地元の警察署で働いているのか、転属したのか?
赤んぼと妻は?
どう「決断」したの?
何も説明されない。見る側が勝手に考えるだけ。

ffall02.jpg


===
さて、妻が妊娠中に浮気するというのは、相手が男でも女でも不実なことだと思うのだが、妻側は思うところがあるようで。
「やり直したい」と頭を下げるマルクに、妻は声を荒げて、
「私は嫉妬することも出来ない!」

2009年の映画祭上映作品 [アウトレイジ] では、カミングアウトした夫(市長)に妻は言う。

――夫に、実は女の愛人がいると言われたら許せる。
かつては私も愛されていたと思えるから。
だけど、何もかもがうそだったなんて。
私もこどもも傷ついている。

今さらながら、
この奥さんのことばは重いな。

===
この作品のステファン・ラカント監督は、2006年の映画祭上映作品 [サマーストーム] の監督さん。
この作品で、自分の性指向に悩む主人公に親身になってくれた「アニキ」(=ボート部ゲイチームのリーダー)が、マルク役ハンノ・コフラーだった。

ffall01.jpg  若い!



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Author:ナンシー☆チロ
映画と本のつれづれ日記。
マイナー路線でごめんなさい。
サッカーも好き☆
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追記・その他

  (2017/07/15) 「FATHERS」に追記あり。 プーン役のAsda Panichkulは元MTVアジアの人気VJで東南アジアでは有名人。 ユク役のNat Sakdatornはタイのタレント発掘番組で優勝した実力派シンガーソングライター。

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