ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録

【ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録】
(1991/HEARTS OF DARKNESS: A FILMMAKER'S APOCALYPSE)


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【地獄の黙示録】 からの~

【地獄の黙示録】 撮影現場のメイキングドキュメンタリを見てミタ。



コッポラの妻エレノアが記録用に回したフィルムと、関係者が当時を振り返るインタビューによって構成されている。
おもしろかった!

1939年オーソン・ウェルズは、自分の監督処女作にと、ジョセフ・コンラッド「闇の奥」の映画化を考えていた。
が、製作費がかさむと映画会社が降り企画は流れてしまった。
代りに製作されたのが【市民ケーン】だった。

このドキュメンタリのタイトルは、「闇の奥」=Heart Of Darkness から来ています。
えっと、つまりオーソン・ウェルズをも魅了するくらいこの作品は、どえりゃあチカラがあるつうことを言いたいわけなのね。

1969年フランシス・F・コッポラは、映画製作会社ゾエトロープを創立。「闇の奥」を原作とした映画の製作を発表。
脚本はジョン・ミリアス、監督はジョージ・ルーカスを予定していた。
実現しないまま時は流れ、1975年企画が再燃。
予算1300万ドル。外部の干渉を避ける為資金は会社で調達。増加分はコッポラ自身の責任となり私財を抵当に入れた。

1976年2月、フィリピン・ルソン島で撮影は始まった。
コッポラ一家もやって来た。コッポラの娘ソフィアは、「ジャングルクルーズみたい!」と喜んだ。カワイイ!

米国陸軍は協力を拒否。コッポラはマルコス大統領の協力を取り付けた。
フィリピン軍及びフィリピンパイロットに多額の金が支払われた。

当初撮影は16週で終わる予定だった・・・。予定だった・・・。予定だった・・・。
ところが、
撮影2週目で主役が交代した。ハーヴェイ・カイテルからマーティン・シーンに。
(軍隊経験のあるハーヴェイ・カイテルが意見したところ、経験のないコッポラと衝突したらしい)
マーティン・シーンは健康面で不安があったが、16週ならと引き受けた。
16週なら・・・。16週なら・・・。16週なら・・・。

当時のフィリピンでは、南部ゲリラとの内戦が激化。
実戦の為、撮影中のヘリが現地に呼び戻され撮影は遅れて行く。お金払ってあるのに・・・。

そこに台風が直撃。ジャングルの奥地に作り上げたカーツ大佐の王国セットは流され撮影は2ヶ月中断。スタッフは一時帰国。
やっと撮影が再開されたところだったが、主役のマーティン・シーンは「内面をさらけ出せ」というコッポラの演出指示に追い詰められて行く。
心臓まひで倒れてしまった。
撮影はどうなるの~~?

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マジやばい


エレノアが録音してたプライベートな会話も出て来る。
コッポラが叫んでいる。
「マーティンが心臓まひで倒れたなんて絶対もらすな!このことがわかったら映画会社は資金を打ち切る!」

マーティンが休養中、スタンドインで撮影、後でマーティンのクローズアップを撮りはめ込んだ。
それでもマーティンなしで撮るシーンは全て撮ってしまいやることがない。
5週間後マーティン復帰。

やっと終盤のクライマックス、カーツ大佐の王国シーンの撮影になった。
ところがデニス・ホッパーはセリフを覚えて来ない。コッポラを怒らせる。

怒り!!
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次に現地にやって来たマーロン・ブランドは大幅に太っていて予定が狂ってしまう。
太っているならそれを利用しようとコッポラが言うと、ブランドは太っているところを撮られたくないと言い出す。
ブランドの拘束は3週間。ギャラは週100万ドル。最初に100万ドル手付けとして払っていた。
ここからマーロンのわがままほーだいが始まる。
マーロンはエンディングのリライトでの延期を嫌がり、手付け100万ドルを取って降りると言い出した。(自分が太って来たせいなのに・・・)
又、台本に難癖をつけ、毎日コッポラと話し合いを続けた。撮影は始まらず日にちだけが経って行く・・・。

apo13.jpg 話し合い


見ていて映画は永久に完成しないのではないかと思った。
撮影が長引くほど製作費はかさんで行く。

当時を振り返っての妻エレノアのインタビューがゴイスなのだ。

――アーティストが作品を完成させる為にはお金が必要。
失敗しても家と車を取り上げられるだけ。
当時はむしろ22の部屋と映写室のある大きな家がわずらわしくシンプルな暮らしに戻りたいとも思っていました。
夫の才能があれば、必ず次の仕事が回ってくるはず。
だから映画が経済的に失敗に終わっても平気と思ってました。


エレノア、なんて器のデカい!
この夫にしてこの妻あり!

当時を振り返るインタビューから、この映画の撮影現場こそ「戦場」であったとわかった。
おもしろいエピソード続々。
冒頭、サイゴンのホテルのシーン、マーティン・シーンが酔っぱらって鏡を割りケガするのは本当に泥酔した為のアクシデント。
「カメラを止めて病院に行こう!」コッポラの声に、「いい。そのまま撮影を続けてくれ」とマーティンが言った。
なので出血もガチ。

フレデリック・フォレストが語るトラとの遭遇シーンは本当に危険で、逃げた後震えているのは演技じゃない。
サム・ボトムスは、映画同様に後半になるにつれほんとにヤクをキメて撮影していたともらす。

カーツの王国の人々は扮装に金がかかるので、現地のイフガウ族にそのまま出てもらった(彼らは首狩り族だった!)
などなど

コッポラの完璧主義もよくわかった。
フランス農園のディナーの撮影シーン、コッポラの指示が印象に残った。
――赤ワインは14度に、白ワインは撮影の直前に冷蔵庫から出すように。
フランス人にも認めてもらえるような食事を出したいんだ。


そこまでこだわるか?!

当初の予定、16週が61週(約1年2ヶ月)になった。
その後編集に2年、映画は完成した。
製作費は1300万ドルから3100万ドルに。
1億5千万ドルの興収を上げた。

コッポラ自身も一度意識を失って倒れた。
正気と狂気の境に行ったという。
この時のエレノアのコメントがまたまたゴイス!

――(夫が倒れた時)私は興奮しました。
夫は行きつくところまで行ったのだと。


エレノア あっぱれ!

 若い時のエレノア (@【ゴッドファーザー】のNYロケ) ↓
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  (2015/8/24) 「怒り」に追記あり。

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